No.9
タイトル
モスキート・コースト
(原題)
THE MOSQUITO COAST
監督
ピーター・ウィアー
制作
1986年/アメリカ
ジャンル ドラマ
上映時間
119分
評価
★★
<ストーリー>
文明社会アメリカに嫌気が差した発明家アリー(ハリソン・フォード)は、火から氷を作る機械を発明。それをジャングルに建設すべく、中央アフリカに家族で移住することを決意する。大自然の中で家族5人は、地元の人々との交流を支えに村を作り、彼の夢は実現したかに思えたが.......。


<コメント>
監督がピーター・ウィアー(『今を生きる』(1989)、『トゥルーマン・ショー』(1998))、脚本がポール・シュレイダー(『タクシー・ドライバー』(1976)、『レイジング・ブル』(1980))、主演がハリソン・フォードで子役にリヴァー・フェニックスとくれば、映画好きの方なら期待度100%!!!・・・のはずですが、残念ながら出来としては???でした。

原作はアメリカの小説家であり紀行作家でもあるポール・セローの同名小説。すごくポジティブに解釈すると、おそらくこの話、2時間で表現するのが無理なのだと思います。
まず、文明に背を向ける主人公の精神的背景が薄っぺらく、家族との人間関係も描き方が浅いので全体的にリアリティが感じられません。
リアリティ(少なくともこういうことが有りうるかもしれないな、と思える程度には)を重視する私としては、「こんなうまいこと行くの?」とか「なんで子供も奥さんも文句言わないの?」等の疑問が浮かび、感情移入がしづらかったです。ハリソン・フォードの演技は悪くないので、やはり演出の問題でしょうか?

また、このストーリーであれば、主人公が自己矛盾(原住民のためにやっていることが結局自然・文化の破壊につながってしまう)に突き当たった時、もっと大きくて深い葛藤や苦悩があってしかるべきだと思います(単純に仕事が嫌で会社を辞めたお父さんじゃないんですから)。
脚本自体は、宗教の伝道師をからめることにより、強烈な風刺が効いていますので、凡百の文明批評ものとは一線を画しているとは思いますが。

ちなみに小説家の村上春樹さんがあるインタビューでこの作品について「あれはおもしろかったね。「スイスのロビンソン」をパロッたようなシニカルな冒険のコメディーで、とにかく面白い」とおっしゃっていたそうです。村上春樹さんの作品は大好きなだけに個人的には複雑な思いですが、なるほど”シニカルな冒険コメディー”と捉えれば確かに納得はいきますね。

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