No.3
タイトル
ピンクフロイド/モア
(原題)
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監督
バーベット・シュローダー
制作
1969年/ルクセンブルグ
ジャンル ドラマ
上映時間
116分
評価
★★★★
<ストーリー>
主人公ステファン(クラウス・グリュンバーグ)は、ヒッチハイクであてどなく放浪を続けていたが、ふと立ち寄ったバーでひょんなことからある男に金を貸すことになる。これが縁でしばしその地にとどまることになるのだが、そこでドラッグを経験し、徐々に染まっていく。やがて彼は仲間の一人エステル(ミムジー・ファーマー)と恋に落ちるが、彼女も薬浸けのためドラッグの量は増えるばかり。二人は堕落した生活にピリオドを打つべくイビサ島に旅に出るのだが、そこではさらなる堕落が彼らを待ち受けていた........。


<コメント>
現在はハリウッドの監督として『運命の逆転』(1990)や『ルームメイト』(1992)等、良質のサスペンスを送りだしているイラン出身のバルベット・シュローダー監督の処女作です。
同監督の作品ではチャールズ・ブコウスキーの原作で、ミッキー・ロークを配した『バーフライ』(1987)が好きなのですが、それ以外はあまり.......。
この作品は伝説的プログレ・ロックバンドであるピンク・フロイドの音楽を全編に使用した、ドラッグを巡るロード・ムービーです。

主人公のステファンは小汚い格好でふらふらと旅を続けているものの、基本的にはごく普通の青年であり、ドラッグにハマるのも特別なルートや危ない橋を渡るわけではないのですが、逆にそれが当時はドラッグやヒッピーが文化として定着していたのだなあという感じを受けます。
60年代に作られた作品とういことで、さすがにドラッグ使用時のトリップ感の描写等においては強烈な視覚・映像効果は少ないですが、当時ヒッピー文化のメッカとされたイビサ島でのスピリチュアルな映像はとても美しいです。ちなみに撮影を担当したネストール・アルメンドロスはテレンス・マリック監督の『天国の日々』(1978)でアカデミー賞撮影賞を受賞しています。
それと何よりこの映画において重要なのはやはりピンク・フロイドの音楽でしょう。彼らの音楽により、太陽に溶かされるような恍惚感がさらに倍増しています。サントラも要チェックです。ちなみに彼らは翌年ミケランジェロ・アントニオーニ監督の作品『Zabriskie Point(砂丘)』のサントラも手がけ話題を呼びました。

ストーリーとしては単純で特にひねりも無いので、こういうサブ・カルチャー的なものに興味があるかどうかで印象はかなり変わってくると思いますが、同じようにドラッグによる退廃・堕落を描いた作品の中で、個人的にはこれだけ詩的で美しいものは少ないと思いますので評価としては★4つを付けました。

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