D-Movie(No.610)

・邦題:『月曜日に乾杯!』
・原題:『MONDAY MORNING』
・監督:オタール・イオセリアーニ
・脚本:オタール・イオセリアーニ
・キャスト:ジャック・ビドウ、アンヌ・クラヴズ=タルナヴスキ他
・制作:2002年/フランス、イタリア
・ジャンル:ドラマ
・上映時間:127分
・評価:★★★★


【 コメント 】
公開作品のほとんどが何らかの映画祭で賞を受賞している、グルジア出身の巨匠オタール・イオセリアーニ監督作品。人生にちょっと疲れた男の、のんびりした逃避行をほのぼのとしたタッチで描いています。

舞台はフランスの小さな村。工場で溶接工として働くヴァンサンは、単調な毎日の繰り返しに飽き飽きしていた。仕事中にタバコも吸えず、家に帰っても妻や子供たちから相手にされない。そのくせ雑用を言い渡されるので、趣味の絵描きも満足に出来ない始末。そんなある月曜日の朝。いつものように出勤した彼は、なんとなく工場に向かわず丘に登る。そしてふと思い立った彼は、そのままヴェニスへと旅に出てしまう...という物語。

私もかつてそうでしたが、会社勤めなどで同じような毎日を繰り返していると、月曜日が憂鬱なもの。朝、電車に乗って「このままどこかに行ってしまおうか」みたいなことは、少なからず誰にでもあるのではないでしょうか。主人公のヴァンサンは、まさにそれを実行に移してしまいます。ヴァンサンのどこか思いつめた表情とは裏腹に、作品として重いところはなく、旅に出るプロセスも淡々としており、旅先のヴェニスでもどこかほのぼのとした時間が静かにすぎていきます。
突発的に出た旅先でも、やはりそこで出会う人たちには生活があり、日常があります。水の都ヴェニスの美しい風景でさえ、そこに暮らす人々にとっては日常のもの。立場や職業は違えど、誰にあってもみんな日常を一生懸命生きているだけです。そんな旅を続ける中で、どんどん心の重荷のようなものがなくなっていくヴァンサン。上映時間の割りに台詞が極端に少なく、無声映画のような趣ですが、その分、小さなユーモアに包まれた描写がいとおしく感じられますし、ヴァンサンの心の変化もじんわりと伝わってきます。大きな感動というよりも、観た後に少し元気になれる作品。

ちなみに本作は2002年のベルリン国際映画祭で銀熊賞(監督賞)と国際批評家連盟賞をダブルで受賞しました。

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