D-Movie(No.593)

・邦題:『真夜中のカーボーイ』
・原題:『MIDNIGHT COWBOY』
・監督:ジョン・シュレシンジャー
・脚本:ウォルド・ソルト
・キャスト:ジョン・ヴォイト、ダスティン・ホフマン他
・制作:1969年/アメリカ
・ジャンル:ドラマ
・上映時間:113分
・評価:★★★★★


【 コメント 】
『日曜日は別れの時』(1971)や『マラソンマン』(1976)など、数多くの名作を手がけるジョン・シュレシンジャー監督作品。ハリウッドの大作主義へのアンチテーゼである”アメリカン・ニューシネマ”の傑作のひとつ。

都会で金持ち女の相手をして金を稼ごうと、テキサスの片田舎からニューヨークへやって来たジョー(ジョン・ヴォイト)。だが気のいい彼は女から逆に金を取られる始末。現実は厳しく、カウボーイを気取る彼の夢は遠のいていくばかり。ある日ジョーはラッツォ(どぶねずみ)と呼ばれる足の悪い小男(ダスティン・ホフマン)と知り合う。大都会で知り合った日陰者同士、徐々に友情を深めていくが...という物語。
個人的にもアメリカン・ニューシネマと呼ばれるジャンルの映画は好きなんですが、中でも本作は派手なアクションも感動のハッピーエンドもない、まさにアメリカン・ニューシネマという内容。もちろん、お金もかかっていません。物語は基本的にジョーとラッツォのやりとりで進行します。しかしながら、この二人を演じるジョン・ヴォイトとダスティン・ホフマンの演技が素晴らしいんですね。
本作はセクシャルな表現も多く、公開当初は成人映画扱いだったそうですが、結果的には、同年のアカデミー賞作品賞、監督賞、脚色賞を受賞しました。主役の二人も受賞こそ逃したものの、二人揃ってアカデミー主演男優賞にノミネートされました。

夢への道筋も見えないまま日常に押し流されていくジョーにとって、他者とのつながりは一筋の光明に見えたに違いありません。しかしながら、他者は必ずしも道案内人ではなく、多くの人間はまた自分と同じ漂流者なのです。そういう”大勢のダメな自分”の上に成り立っているアメリカン・ドリーム。そしてアメリカという国。その仕組みに気づき、生き方を変えたジョー、気づいていながら夢をあきらめ切れなかったラッツォ。どちらが幸せかという答えが無い世界に、また新たな若者が夢を求めてやってくるのでしょう。

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