1986年10月23日、ソウル南部の農村で手足を縛られた若い女性の無惨な変死体が発見される。また数日後には、同様の手口で2人目の犠牲者が出た。さっそく地元の刑事パク・トゥマンら捜査班が出動。だが、懸命な捜査も空しく、一向に有力な手掛かりが掴めず、捜査陣は苛立ちを募らせる。その上パクと、ソウル市警から派遣されたソ・テユン刑事は性格も捜査手法もことごとく対称的で、2人はたびたび衝突してしまう。こうして捜査は行き詰まり、犠牲者だけが増えていく。そんな中、ついに一人の有力な容疑者が浮上してくるのだが...という物語。
韓国で実在する未解決の連続殺人事件を基にしたサスペンス・ドラマ。事件を追う2人の刑事が刻一刻と心理的に追い詰められていく様子をリアルに描いています。自白を引き出す偏見、暴力、焦り、日本はもちろん、世界中の映画で描写される人間の欲と闇。さらに描かれる、田舎の刑事と都会の刑事の違いとその逆転。未解決事件の不気味さを元にしながら、そこで表現されているのは、人間の本質、いや、”私たち”の本質。全編緊張感を保ちながら、ユーモアを織り交ぜて淡々と見せる演出は、ポン・ジュノ監督の持ち味。韓国映画の凄みを感じさせる一作です。
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