【 コメント 】
『グラディエーター』(2000)や『ロビン・フッド』(2010)などの大作をまかされるスター監督でありながら、『エイリアン』(1979)や『ブレードランナー』(1982)のような初期の傑作によって、カルト的人気も獲得し続けるリドリー・スコット監督作品。
一流の詐欺師として生計を立てているロイ(ニコラス・ケイジ)は、強迫神経症を患っており、そのため極度の潔癖症。四六時中カーペットや家具の汚れが気になって仕方が無い。そのために仕事にも支障をきたす始末。やがて彼を心配した相棒のフランク(サム・ロックウェル)は、彼に精神分析医のクレインを紹介する。ロイを診察したクレインからは、彼の障害は十年以上前に妻のヘザーと離婚したことが原因であると告げられる。自分で連絡できないロイは、クレインのおかげでヘザーが当時妊娠していたこと、無事に娘を出産していることを知り、娘と会うことになるが...という物語。
詐欺師の二人が主人公。だましだまされのコンゲーム作品。ロイとフランクのやりとりや詐欺の手口が面白く、冒頭から軽快なテンポもよくて楽しめます。ロイの潔癖症ぶりもニコラス・ケイジが演じるとどこか間抜けで、でもありそうな感じ(笑)。
”大きな仕事はやらない”というロイの意思に反して、実はびっくりするようなどんでん返しが起こるのですが、そのあたりの演出もさすがリドリー・スコットです。ただ、それだけで終わってしまうにはもったいないぐらい、ロイの物語もよく描かれていて、実は悪事に手を染めて精神を病んだ中年男の更生の物語というのが本作の本質。それをうまくエンターテイメントで包み、しかも成功したという意味では珍しい作品だと思います。
ロイの娘で14歳の少女を演じたアリソン・ローマンも非常に印象的でした。彼女は撮影当時20歳前半だったそうですが、見事にこの役を演じていますね。...考えようによっては、そういうエピソードもこれまた本作の鍵となるわけですが、それは観てのお楽しみということで。
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