【 コメント 】
アカデミー賞の脚本賞にノミネートされた『イカとクジラ』(2005)を手がけたノア・ボーンバック監督作品。薬に依存し、傲慢でワガママな女性作家マーゴットをめぐるファミリー・ドラマ。主役のマーゴットには『ムーラン・ルージュ』(2001)、『アザーズ』(2001)などのニコール・キッドマン、彼女と確執のある妹には『キング・イズ・アライヴ』(2000)などのジェニファー・ジェイソン・リーがキャスティングされています。
女性作家のマーゴットは、妹ポーリンの結婚式に出席するため、思春期の息子クロードを連れて久々に実家を訪れる。お互いを完全に許しあえない二人は、ぎこちない関係ながらも、結婚式に向けて準備を始める。しかし、ポーリンの婚約者マルコムが無職のだらしない男と知ったマーゴットは、この結婚を取りやめるようポーリンに助言。彼女の自己中心的な言動や行動が回りの人間関係を徐々に壊し始め...という物語。
マーゴットの言動は確かに直接的過ぎるところがありますし、自分のことしか考えていない部分も見て取れます。妹ポーリンとの関係が悪化した原因も作中で徐々に明らかになっていきますが、マーゴットの態度に問題ありという気もします。しかしながら、ではポーリンが対照的に人の気持ちを慮ることのできる素晴らしい人間かというと、そうでもない。自分の意思や気持ちを抑圧して生きることがいいとは思いませんし、かといってそれを包み隠さずすべて相手にぶつけることもいいとは思いません。それでも、人と人は衝突しながらでも少しずつ成長するものだし、人間関係というものは壊れても修復できるものだと信じたい。本作はそんな希望を抱かせつつ、結局まとまりが無いまま終わってしまいます。それでも全体的に暗く重い感じが無いのは、ポーリンの婚約者を演じるジャック・ブラックのキャラクターの軽さのおかげでしょうか。人と人が理解しあうことの難しさと、それがある意味私たちの日常でもあるのだということに気づかされる作品です。
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