神など信じず、淡々と自分の人生を生きてきた現実主義者のラッキー。90歳の彼は今日もアパートにひとり暮らし。朝、目覚めるとまずタバコを吸いコーヒーを飲む。それから身なりを整えたら行きつけのダイナーに寄って、店主と無駄話をしながらクロスワード・パズルを解く。そんな一つひとつの日課を律儀に守り通して日々を過ごしてきたラッキー。しかしある朝、突然倒れたことをきっかけに、自らの人生の終わりを意識し始めるのだったが...という物語。
2017年9月に他界した『パリ、テキサス』(1984)などの名優ハリー・ディーン・スタントンの最後の主演作。スタントン自身のイメージと重なる一匹狼の偏屈老人ラッキーが、自分の生き方を貫きつつも、静かに死と向き合っていく姿を描いたドラマ。映画監督のデヴィッド・リンチが共演者として登場。物語的には『パリ、テキサス』の続編とも取れる内容で、映画ファンにはたまりません。見る人によっていろんなメッセージを投げかけてくれる本作。自分自身としっかり向き合うことこそが、人生で一番大切なこと。個人的にはそんなメッセージを受け取りました。
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