D-Movie(No.714)

・邦題:『ルルドの泉で』
・原題:『LOURDES』
・監督:ジェシカ・ハウスナー
・脚本:ジェシカ・ハウスナー
・キャスト:シルヴィー・テステュー、レア・セドゥ他
・制作:2009年/オーストリア、フランス、ドイツ
・ジャンル:ドラマ
・上映時間:99分
・評価:★★★★


【 コメント 】
奇跡の起きた泉としてカトリック教会の巡礼地となっている”ルルド”を訪れた人々が経験した出来事を、美しい映像で綴った物語。監督はオーストリア出身のジェシカ・ハウスナー。奇跡を体験する主人公を演じるのは『サガン−悲しみよ こんにちは−』(2008)のシルヴィー・テステュー、彼女を世話する女性を演じるのは、『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』のレア・セドゥ。

フランスとスペインの国境に位置するピレネー山脈のふもとの小さな村ルルド。聖母マリアの出現した地として、また奇蹟の水が湧き出る泉で知られる世界最大の巡礼地。このルルドへのツアーに参加した女性クリスティーヌ。首から下を自分の意思で動かすことが出来ず、車椅子の生活を余儀なくされていた彼女だったが、療養のさなかに突然身体が自由に動くようになり、やがて立って歩けるまでになる。奇跡を体験し、喜びにあふれるクリスティーヌ。だが、重い病気や障害を抱える他のツアー客から、「なぜ彼女にだけ奇蹟が訪れたのか」と、疑念や嫉妬の目が向けられていることに気づいていく...という物語。

奇跡の泉、カトリック教会の巡礼の地、というと、ちょっと日本人にはなじみの無いように感じてしまうかもしれませんが、信仰ということについて非常に本質的な問題について切り込んでいるため、誰にでも共感できる部分があると思います。奇跡が起こる主人公クリスティーヌは決して信仰心が厚いわけではありません。献身的な信徒の突然の病気、クリスティーヌに奇跡が起こってから周辺の人々の態度の豹変や、本当に奇跡が起こったことに戸惑う神父など、非常にストレートで心理的には残酷な描写の多い物語ではありますが、本当の意味での覚醒を思わせるクリスティーヌの表情と態度で終わるラストには静かな感動があります。私たちが一方的に望むような奇跡と言うものは起こりえないのかもしれませんが、見方を変えれば、私たちの日常は奇跡の連続だとも言えるのでしょう。

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