D-Movie(No.571)

・邦題:『翼をください』
・原題:『LOST AND DELIRIOUS』
・監督:レア・プール
・脚本:ジュディス・トンプソン
・キャスト:ミーシャ・バートン、パイパー・ペラーボ他
・制作:2001年/カナダ
・ジャンル:ドラマ
・上映時間:100分
・評価:★★★


【 コメント 】
母親を亡くした”マウス”(ミーシャ・バートン)は、父の再婚相手とうまくいかず、女子寄宿舎に入ることになる。不安が募る中、同室になったのは、トリー(ジェシカ・パレ)とポーリー(パイパー・ペラーボ)。性格は対照的だが仲のいい二人。マウスも彼女たちとうまくやっていたが、彼女たちは実は愛し合っていたのだった。マウスはそれを受け入れるが、トリーの妹がその現場を見てしまい、両親にばれることを恐れたトリーがポーリーを避けるようになり、徐々に3人の関係は崩れていく...という物語。

基本的にはトリーとポーリーの恋愛物語であり、二人の人間関係を中心にストーリーが展開していくんですが、物語はマウスの視点からとなっています。
女学院の寄宿舎という設定で、ほとんどが寄宿舎と森を舞台に繰り広げられるんですが、どこか写真のような映像の美しさもあってか、思ったより閉塞感はありません。肝心の”両親にばれるとまずい”という縛りの強度が伝わりにくい部分もあるのですが、ポーリーの純粋さが狂気をはらんでくるくだりがある意味自然で、中盤から終盤にかけて、ひりひりした空気が伝わってきます。周りの学生たちの描写や彼女たちとの関係が必要以上に暗くなく、あくまでも思春期の純粋さをそのまま映像に映し出そうという感じに好感が持てます。傍らにはずっとマウスがいたし、校長先生も理解者として存在していたのですが、それでもつなぎとめられなかったところが残念。
結果としては悲しい話なんですが、ポーリーの一途さには、切なさはもちろん、ある種の潔さが感じられます。女学生同士の恋愛を描いたという意味では、ピーター・ジャクソン監督の『乙女の祈り』(1994)が大好きなんですが、本作はあそこまでの狂気はないものの、成就しない恋愛の悲哀とみずみずしさを描いた秀作だと思います。主役の3人の女優陣も素晴らしいです。個人的には、作中に使用される音楽が好みのテイストだったら最高でしたが。

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