夜のハイウェイを走る一台のBMW。運転しているのは仕事も家庭も順風満帆な人生を送っていたアイヴァン・ロック。しかし一本の電話が彼の運命を一変させた。彼が向かっているのは遠く離れたロンドン。今夜は、愛する家族と自宅でサッカー観戦の予定だった。しかも明日は、一大建設プロジェクトの着工を現場で指揮しなければならなかったというのに。そんなロックの行動に対し、激怒した上司が電話でクビを宣告し、妻は電話の向こうで取り乱してしまう...という物語。
イギリス出身の脚本家・スティーヴ・ナイト監督の長編2作目となる作品ですが、画面に登場する人物がたった一人という実験作。ハイウェイを走行する車のドライバーを主人公に、彼がさまざまな人物と交わす電話での会話によって物語を進めるという異色のドラマ。淡々とした映像が続きますが、中身は思ったよりサスペンスフル。主役を演じるトム・ハーディの演技も地味ながらすごいっ。会話のみで進行するので、この手のトリッキーなテイストが苦手な人にはちょっと退屈かも。重い内容ながら、見終わったあとはどこか清々しさも感じられる良作です。
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