【 コメント 】
1967年から1976年にかけてアメリカで大活躍した、ロビー・ロバートソン率いる伝説のロック・バンド”ザ・バンド”。彼らが初公演を開いた場所である、サンフランシスコのウィンターランドで行った解散コンサートの一部始終を収めたドキュメンタリー作品。コンサート映像だけでなく、監督のマーティン・スコセッシが自ら行った各メンバーへのインタビュー映像も挿入された構成になっています。
まず見所としては当たり前ですがコンサート映像です。これにはマーティン・スコセッシ監督の相当なこだわりが発揮されたようで、実際にカメラは7台使用され、使われたフィルムも膨大な量にのぼり、300ページにも及ぶ台本&リハーサルまで行ったようです。
次にすごいのはやはり豪華ゲストの出演です。ジョニ・ミッチェル、ニール・ヤング、ボブ・ディラン、エリック・クラプトン、ニール・ダイヤモンド、マディ・ウォーターズ、ヴァン・モリソンなど、ロックファンにとって信じられないメンバーが揃っています。どのゲストが登場するシーンも見ごたえがありますが、個人的にはヴァン・モリソンのシーンが最も印象的でした。
もちろん、監督自らが行ったインタビューも印象的です。当たり障りのないトークではなく、時に寄り添うように、時に突き放すように、メンバーそれぞれの内面に迫っていきます。監督自身が映像に写っている場面もあり、膨大なフィルムの中から相当考え抜かれて編集した様子が伝わってきます。
一時代を築いたロック・バンドの解散コンサートというだけあって、当時の音楽事情、メンバー間の考え方の相違など、やはりコンサート映像だけでなく、メンバーの本音のインタビューも交えて見ると、表面からは見えないさまざまな事情や確執が見え隠れし、いろんな意味で感慨深い内容となっています。
もちろん、そういう深読みは抜きにしても、すばらしいコンサートを収めたドキュメンタリー映画として優れた作品であることは間違いありません。
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