網膜スキャンで全ての人々のID情報を管理するようになる遠くない未来。離婚を控えた医師のハイメは、別荘である山小屋の片付けに追われていた。ところが数十年に一度という規模の大嵐が迫っており、天候の対策に追われる中で異様な姿の若い男性を発見する。介抱するハイメだが、目覚めた彼は激しい痛みを訴え、その上全ての記憶をなくしていた。そして青年を病院に連れて行ったハイメは、驚くべき現象を目の当たりにする。青年の網膜はこの世に存在する人間の誰の物とも合致しないのだった...という物語。
あらゆる情報が完璧に管理されている近未来を舞台に、人間の存在そのものの意味を問うSFサスペンスドラマ。記憶を失った登場人物が主役のSFはよくありますが、メキシコ発ということもあってか、異色の雰囲気が楽しめる作品となっています。謎多き展開から、最終的には一応伏線を回収しますが、大きな山場がないので、もう少し社会的な問題提起があってもよかったも(テーマ的にもそれが可能なので)。全体的なテンポも今ひとつですが、嵐という自然現象を絡めた不穏な空気感と少しダークな映像は良かったです。
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