D-Movie(No.508)

・邦題:『ラヴェンダーの咲く庭で』
・原題:『LADIES IN LAVENDER』
・監督:チャールズ・ダンス
・脚本:チャールズ・ダンス
・キャスト:ジュディ・デンチ、マギー・スミス他
・制作:2004年/イギリス
・ジャンル:ドラマ
・上映時間:105分
・評価:★★★


【 ストーリー 】
1936年、初老のジャネット(マギー・スミス)とアーシュラ(ジュディ・デンチ)の姉妹は、イギリス西部コーンウォール地方の美しい漁村で二人静かに暮らしていた。あるひどい嵐の翌日、幸い家は無事だったが、遠くの海岸に打ち上げられた若い男を発見する。あわてて駆けつけると男はまだ生きていた。二人は男を家に連れて帰り介抱する...。

【 コメント 】
人生の終盤を迎え、二人で静かに暮らしていた老姉妹の前に突然現れた異国の美青年。恋心などはるか昔の出来事だったはずが、妹は青年に恋心を抱いてしまい、現実と理想のギャップに戸惑いながらも心を揺らすという物語。
監督はイギリスで俳優としても活躍していたベテラン、チャールズ・ダンス。本作が初監督・脚本作品。そして主演はこちらもイギリスが世界に誇る2大女優、ジュディ・デンチとマギー・スミス。異国の地に流れ着く青年は、デビュー作『グッバイ、レーニン!』(2003)が印象的なダニエル・ブリュールが演じています。

老姉妹が織り成す静謐で感動的なドラマというと『八月の鯨』(1987)をまず思い浮かべます。この時に姉妹を演じたベティ・デイヴィスとリリアン・ギッシュは素晴らしかった。しかしながら、本作も姉妹のジャネットとアーシュラを演じるのは、世界的な名優ジュディ・デンチとマギー・スミス。この二人の演技もやはり素晴らしいです。
冒頭から姉妹の質素でありながら豊かな生活描写があり、静かな始まりと思いきや、突然海に若い青年が打ち上げられ、それを姉妹が助けるという非現実的な展開に驚きます。海から無理やりやってきた白馬の王子。いかにもな展開ですが、しかしながら、そこから姉妹が彼に対して抱く気持ちはいきなり”恋”と呼ぶにはあまりにも淡い感情。この感情の描写が繊細ですし、また妹のアーシュラの気持ちが徐々に高まってくるプロセスの描写も見事です。監督の手腕もあると想いますが、やはり二人の大女優の成せる業かと。
その後のストーリー展開としては、ありがちなものですし、姉妹の過去やお互いの人間関係についてはもっと掘り下げて欲しかった気がしますが、いつまでも女心を忘れないアーシュラの純粋さはとてもかわいらしく切ないです。どんな時代でも人が人を想う気持ちに変わりは無く、また、決して実らない恋というのも存在するもの。恋の甘さと切なさがしっとりと心に残る作品です。

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