D-Movie(No.506)

・邦題:『光の旅人 K-PAX』
・原題:『K-PAX』
・監督:イアン・ソフトリー
・脚本:チャールズ・リーヴィット
・キャスト:ケヴィン・スペイシー、ジェフ・ブリッジス他
・制作:2001年/アメリカ
・ジャンル:ファンタジー
・上映時間:121分
・評価:★★★★


【 ストーリー 】
ニューヨークの駅構内で警察に連行された謎の男プロート(ケビン・スペイシー)。彼は自分のことを遥か1,000光年彼方のK−PAX星からやって来た異星人だと言い張る。結果、プロートは精神病院に送られ医師パウエル(ジェフ・ブリッジズ)の治療を受けることになるが、彼の言動や理論には単なる精神異常者のものとは思えない信憑性があり、周りの患者たちにも徐々に強い影響を与え始める ...。

【 コメント 】
自分をK−PAX星から来た異星人だと名乗る謎の男と、彼を精神病患者として治療する精神科医との不思議な心の交流を描いたドラマ。監督は『バックビート』(1993)のイアン・ソフトリー。謎の男を演じるのは演技派ケヴィン・スペイシー、精神科医にはジェフ・ブリッジスがキャスティングされています。

超越した能力を持つ謎の人間が登場し、周囲とのトラブルや交流を通して、人間同士のつながりや人間関係の修復を描いたドラマはたくさんあります。『オー!ゴッド』(1977)、『フェノミナン』(1996)、『ブルース・オールマイティ』(2003)などなど。そこでは、主人公となる謎の人間が本当に超越した能力を持っているのかどうかや、超越した力を持ったことに対する動揺などが物語の鍵となりますが、往々にして最も大事なのは、主人公が純粋な人間(もしくは取り戻した)として描かれていて、それゆえに我々が忘れてしまった感情や絆に気づかせてくれる、というプロセスにあると思います。
本作も然り。ちょっとネタバレですが、ケヴィン・スペイシー演じるプロートが、普通の人間である証拠もありつつ、さまざまな知識を披露するため、最後の最後までどちらとも取れる存在として描かれています。しかしながら、本作が伝えようとしているメッセージは”信じる心”ではないでしょうか。プロートを治療しようとしケアする精神科医や、同じ病院にいる患者たちは、みんな人を信じる心を忘れてしまっている状態です。それがプロートが登場し、彼の言葉や行動によって癒されていきます。私たちが普段忘れてしまっている大切な感情は、あらためて思い出されるために何らかのきっかけを必要としています。そのことに気づくだけでもおそらく日々の暮らしは、人生は今よりも豊かになるでしょう。
良くも悪くも”表情が無い”と言われるケヴィン・スペイシーですが、本作は当たり役。微妙な表情の変化で素晴らしい演技を見せます。もやもやっとしながらも、心がしっとりする秀作です。

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