『ミシュランガイド東京』で5年連続で最高ランクの三つ星を受けるなど、言わずとしれた銀座の高級鮨店“すきやばし次郎”。その店主で、もはや伝説的な存在である小野二郎の徹底した仕事ぶりと、彼の元で修行を積む息子や職人たちに約3ヶ月にわたって密着した異色のドキュメンタリー作品。監督は次郎の寿司に惚れ込んだニューヨーク出身の映像作家、デヴィッド・ゲルブ。各地の映画祭で評判を呼び、無名監督のドキュメンタリー作品としては全米で異例の大ヒットとなりました。
87歳になっても現役でカウンターに立ち、鮨に対する向上心を持ち続ける二郎の哲学と生き様には大きな感銘を受けます。また、次郎にのみ焦点を当てるのではなく、偉大なる父を持った息子たち、次郎を取り巻くスタッフたちの思いもしっかりと受け止めた内容は見ごたえがあります。鮨がアート作品に思える映像や、フィリップ・グラスの素晴らしい音楽も相まって、全体的に持ち上げすぎのような気もしますし、国内の密着番組などと比較するとそれぞれに良し悪しは感じられます。ただ監督が日本人ではないからこそ描けた視点、距離感だとすると、貴重な作品ではあるかも。見終わった後、間違いなくお寿司が食べたくなります(笑)。
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