D-Movie(No.495)
・邦題:『イズ・エー』
・原題:『is A.』
・監督:藤原健一
・脚本:藤原健一他
・キャスト:小栗旬、内藤剛志他
・公開/制作:2003年/日本
・ジャンル:ドラマ
・上映時間:109分
・評価:★★★★

【 ストーリー 】
渋谷で大量の死者を出す無差別爆破事件が起こり、“ホーリー・ナイト”と名乗る14歳の犯人(小栗旬)が逮捕される。しかし、少年法に守られた犯人の少年は4年後に社会復帰。事件で最愛の家族を失い、いまだに心の整理が付けられない刑事・三村(津田寛治)は、彼の社会復帰を知り、直接会おうと試みる...。

【 コメント 】
凶悪犯罪を犯した少年が、少年法に守られていることから、短期間で社会復帰を果たすという事実と問題に真正面から取り組んだ作品。監督はこれが長編デビュー作となる藤原健一。罪の無い人々を爆弾で殺傷した心幼き少年、加害者であるその犯人の父親、そしてその爆破事件によって家族を奪われた父親、3人のその後の生き様と葛藤が交錯する社会派ドラマです。
主演は演技派の名脇役・津田寛治。爆破犯人“少年A”を演じるのはまだあどけなさの残る小栗旬、その父親役にベテラン・内藤剛志というキャスティング。3人とも非常に複雑な感情を内包したキャラクターをそれぞれ見事に演じています。

凶悪な事件を起こした犯人が、少年というだけで4年の刑期を経て社会復帰をする。現行の少年法が今の時代に生きる”少年”に当てはまるのかどうか。果たして4年程度で人間は更正できるのか。映画は、この問題について深く切り込んでいきますが、津田寛治演じる主人公の刑事・三村が察知するように、少年は更生していない方向で話が進みます。ひょっとしたら、捕まった当時よりは良くなっているのかもしれませんが、それは作中にも出てくる通り、少年にしかわかりません。そして、本作は、少年法のみならず、もっと深い問題を提起します。それは、法を変えればそれでいいのかということ。事件を起こした後の更正プログラムや刑罰について論じることも大切ですが、少年の心はなぜ闇を形成したのか、そこが明らかにならなければ、本質的な解決にはなりません。そして、その部分に関しては、当事者の3人が3人とも、実は”わからない”のです。少年がなぜこうなったのかもわからないし、加害者の父親がどう生きればよかったのか、被害者の父親はどう振舞えば心落ち着かせることが出来たのか、何もわからないのです。
それこそが現代に生まれた犯罪の持つ闇であり、私たちが目をそらさずに向き合い、考えなければいけないことなのではないでしょうか。

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送