D-Movie(No.601)

・邦題:『神に選ばれし無敵の男』
・原題:『INVINCIBLE』
・監督:ヴェルナー・ヘルツォーク
・脚本:ヴェルナー・ヘルツォーク他
・キャスト: ティム・ロス、ヨウコ・アホラ他
・制作:2001年/ドイツ、イギリス
・ジャンル:ドラマ
・上映時間:130分
・評価:★★★


【 コメント 】
『カスパー・ハウザーの謎』(1974)、『フィツカラルド』(1982)など、個性的な作品で知られる鬼才ヴェルナー・ヘルツォーク監督作品。ナチス台頭下のベルリンを舞台に、特殊なキャラクターを持った二人の男が、歴史に翻弄される様子を描いた物語。

舞台は1932年のポーランド。鍛冶屋を営むユダヤ人一家の長男ジシェは、筋肉隆々の怪力の持ち主。とあるトラブルからお金が必要になり、“世界一の力持ち”の男と闘うことになるが、難なくこれに勝利。その怪力を認められ、ベルリンにある預言者ハヌッセンが経営する”オカルトの館”のショーに出演することになる。ハヌッセンは千里眼の持ち主とされ、ナチスの要人を含め、多くの人々を魅了していたが、ジシェはその怪力から人気を博すものの、“ジークフリート”という芸名や、顧客であるナチスのためにユダヤ人であることを隠しての出演に疑問を抱くようになる...という物語。

主人公であるジシェを演じるのは、本作のために大抜擢されたヨウコ・アホラ。実際にストロングマン・コンテスト優勝者で怪力の持ち主。さらにハヌッセンの劇場で働くピアニストには、こちらも実際に国際的ピアニストとして活躍していたアンナ・ゴラーリという女性を抜擢。二人とも俳優としてのキャリアはないものの、作品によりリアリティを与えるために、実際に映画のキャラクターとしての技量を持つとの理由でキャスティングされたもの。このキャスティングは大成功だと思います。そして、その二人の雇い主として登場するハヌッセンを演じるのは、『海の上のピアニスト』のティム・ロス。こちらは一転して、実力のある個性派俳優。その怪しいまなざし、身のこなし、野望を抱くハヌッセンの謎めいた魅力をティム・ロスが怪演。この対比が本作の見所のひとつであることは間違いありません。
ただ、ユダヤ人の信仰について、主人公のジシェからは純粋さは伝わってくるものの、崇高さは今ひとつのような気がします。結果的には、やはり時代に翻弄されたハヌッセンに想いを馳せてしまう作品。

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送