D-Movie(No.656)

・邦題:『ドーパミン』
・原題:『INTOXICATING』
・監督:マーク・デヴィッド
・脚本:カーク・ハリス
・キャスト:エリック・ロバーツ、ジョン・サヴェージ他
・制作:2003年/アメリカ
・ジャンル:ドラマ
・上映時間:109分
・評価:★


【 コメント 】
昼は優秀な外科医、夜はドラッグ浸りという、二つの顔を持つ男が辿る自分探しの物語。監督はマーク・デヴィッド。カーク・ハリスが、本作の原案・脚本・出演・製作まで手がけているようです。

幼い頃に母親が去り、パンチドランカーの父親には息子であることもわかってもらえない心臓外科医のドリアン。彼は、寝る間を惜しんで手術に励む一方で、夜はドラッグをきめて酒場に繰り出す毎日を送っていた。緊張を強い手術と女たちとのドラッグ漬けの生活を送るうち、彼の人生は徐々に歯車が狂い始める...という物語。

カーク・ハリスという人はほとんど知らないのですが、主人公と親しいドラッグ・ディーラーにはエリック・ロバーツ、パンチドランカーとなってしまった父親にはジョン・サヴェージがキャスティングされるなど、大物俳優が出演しているのが面白いところです。
ただ、全体的に、作りが甘いな感じで、二つの顔といいながら、外科医としての緊張感やプレッシャーもあまり感じられず、ドラッグ漬けの夜の暮らしも、他のこの手の作品と比べると、内容的にも映像的にもインパクトが弱いです。ここは思い切り音楽の力に頼ってもいいので、主人公が身をゆだねる酩酊感や高揚感がもっと欲しかったところ。破滅する運命がわかっていてもドラッグを手放せないような現代人の苦悩のようなものも、ストレスによって何かが欠落してしまったような壊れた感もちょっと伝わってきませんでした。家族の問題も、母親のエピソード、父親との交流、ともに切なさも感動もあまりなく、ジョン・サヴェージの迫真の演技も空振りに終わってしまいました。一応、エリック・ロバーツ演じる優しいドラッグ・ディーラーはなかなか面白いキャラクターです。大物俳優二人のファンの方や、主人公がドラッグによって破滅する作品でハッピーエンドを求める方(そんな人いない?)は見て損は無いかもです。残念ながら、日本未公開なのもうなづける作品です。

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