D-Movie(No.642)

・邦題:『イントゥ・ザ・ワイルド』
・原題:『INTO THE WILD』
・監督:ショーン・ペン
・脚本:ショーン・ペン
・キャスト:エミール・ハーシュ、マーシャ・ゲイ・ハーデン他
・制作:2007年/アメリカ
・ジャンル:ドラマ
・上映時間:148分
・評価:★★★


【 コメント 】
恵まれた環境に生まれながら。あまりの純粋さに人間社会での息苦しさを抱え、一人でアラスカの大自然に身をゆだねた若者の行方を描いたジョン・クラカワーのベストセラー・ノンフィクション小説『荒野へ』を、俳優であり、監督も努めるショーン・ペンが10年かけて構想し映画化した作品。同年のアカデミー賞の助演男優賞と編集賞にノミネートされました。主人公のクリス・マッカンドレスを演じたのは、『スピード・レーサー』(2008)エミール・ハーシュ。

1990年の夏、ジョージア州の大学を優秀な成績で卒業した22歳の青年、クリス・マッカンドレス。裕福な家庭に育った彼は両親から、卒業祝いに新車を買ってあげると申し出を受けるが、それをあっさり断り、さらに家族に何も告げず、アラスカへ向かう旅に出る。その純粋さゆえに、ストイックに自然とかかわりを求め、道中である人々とも距離を置いてしまうクリス。やがて目的地にたどり着くが、そこで彼を待っていたのは、過酷なまでの自然の洗礼だった...と言う物語。

主人公クリスは文字通り何もかも捨てて旅に出ます。しかしながら、その情熱の出発点は人間社会や文明への批判、というよりも家族に対する思いであり、結果的に彼の旅はより過酷な方向に向かいます。純粋であることは間違いないので、彼の考え方や行動に共感できる部分もなくはないですが、お金を必要以上に敵視ししたり、それでいて普通にアルバイトをしたり、若干支離滅裂な気もします。さらに、道中で彼が出会う人々にいい人が多く、これだけ人間とふれあい、理解し会えば、それを捨ててまで自然に抗うことは無いんじゃないか、とも思ってしまいます。それでも、人間が文明に頼らず、自らの肉体と精神で自然を克服していくと言う生き方を選んだ彼は、ほとんど求道者のよう。そんな彼に訪れる結末を見ると、大いなる自然との対峙ではなく、もう少し人間の心の中に飛び込んでいれば、と思わざるを得ません。音楽の使い方も上手く、見終わった後に心が締め付けられる作品。

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