D-Movie(No.507)

・邦題:『10億分の1の男』
・原題:『INTACTO』
・監督:フアン・カルロス・フレスナディージョ
・脚本:フアン・カルロス・フレスナディージョ他
・キャスト:レオナルド・スバラグリア、ユウセビオ・ポンセラ他
・制作:2001年/スペイン
・ジャンル:サスペンス
・上映時間:108分
・評価:★★★


【 ストーリー 】
旅客機の墜落事故が起こり、乗客のほとんどが死んでしまう中、たったひとり生き残ったトマス(レオナルド・スバラグリア)。命は助かったものの、強盗を働いて逃亡中だった彼は警察に追われる羽目に。そんな彼の前に保険屋を装って現れた男フェデリコ。彼はトマスに、逃がしてやる代わりにとあるゲームに参加しろと強要する ...。

【 コメント 】
航空事故の大惨事から奇跡的に逃れた男が巻き込まれる、”運”を奪い合う命がけの過酷なゲームを描いたサスペンス。監督は本作が長編デビュー作のフアン・カルロス・フレスナディージョ。本作で第16回ゴヤ賞(いわゆるスペイン版アカデミー賞です)の最優秀新人監督賞を受賞(主演のレオナルド・スバラグリアは最優秀新人男優賞を受賞)。その後、ダニー・ボイルが監督を務めたゾンビ・アクション・ホラー『28日後...』(2002)の続編『28週後...』(2007)の監督として抜擢されました。

『じみへん』などで知られる中崎タツヤさんの漫画に、みんなで犬をからかって遊ぶと、決まって自分だけが犬に追いかけられる、そんな運の悪い子供たちが集まって相談する作品があります。「このメンバーで犬をからかったら誰が追いかけられるんだろう...」(笑)。悪魔のささやきにみんな怖気づいてしまい、結局何も出来ない、というオチなんですが(笑)。本作はその逆、とにかく”運”の強い男たちが、世界一の名声を求めて戦うドラマ。
単純に”運”を競うゲームを羅列するのではなく、30年間も頂点に君臨し続ける神のような男と、名声のためではなく、愛のために戦う男の人間ドラマになっているところがポイント。ハリウッド作品とは一線を画す渋い仕上がりになっています。”運”という要素だけでなく、”他人の運を奪う”というオカルト的な要素も入っており、一歩間違うとファンタジーやコメディになってしまいそうな脚本をハードボイルドにまとめあげた監督の手腕はなかなかのもの。女性捜査官のエピソードがちょっと空回りしている感じですが、全体的にぎりぎりのところでリアリティを保っています。
主役のレオナルド・スバラグリアもがんばっていますが、個人的には”運を左右できる男”サムを演じたマックス・フォン・シドーの演技が響きました。どうしても『エクソシスト』(1973)の神父役の印象がいまだに根強いんですが、彼の存在感が本作のドラマに深みを与えています。

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