D-Movie(No.541)

・邦題:『ガスパール/君と過ごした季節(とき)』
・原題:『GASPARD ET ROBINSON』
・監督:トニー・ガトリフ
・脚本:トニー・ガトリフ他
・キャスト:ジェラール・ダルモン、ヴァンサン・ランドン他
・制作:1990年/フランス
・ジャンル:ドラマ
・上映時間:93分
・評価:★★★★


【 ストーリー 】
南仏、プロヴァンス。中年男で遊び人ガスパール(ジェラール・ダルモン)と子供のような心を持つロバンソン(ヴァンサン・ランドン)は無二の親友。仕事のない二人は海辺の廃屋を改造しレストランを開く計画を立てる。ところが、ある日ロバンソンが、海辺で一人戸惑っていた老婆を連れてくる。ガスパールはしょうがなく引き受けるが ...。

【 コメント 】
2004年に公開した『愛より強い旅』で同年のカンヌ国際映画祭のパルム・ドールにノミネート、監督賞を受賞したトニー・ガトリフ監督作品。本作は長編デビュー作。脚本も自ら手がけています。以前、VHSで発売された時は『海辺のレストラン−ガスパールとロバンスン−』というタイトルだったと思うのですが、DVD販売にあたって改題されたのでしょうか。いずれにしても、本作のほうが原題に近い?感じです。
主演はジェラール・ダルモンとヴァンサン・ランドン。個人的にジェラール・ダルモンが好きなんです。ハンサムなのかどうかわからない特徴ある面長の顔、コメディで見せるお祭り男的な明るいキャラ、一度見たら忘れられません。はじめてみたのは『ベティー・ブルー愛と激情の日々』(1986)でした。その強烈なキャラに驚いた記憶があります。ちなみに彼は同作でセザール賞の助演男優賞にノミネートされました。実力派です。そんなジェラール・ダルモンが演じるのは妻に捨てられて以来、家族というものを信じられない男・ガスパール。親友ロバンソンと海辺のレストランをオープンするまでの物語なのですが、個人的には、ガスパールの魂の放浪の物語だと思いました。

二人とも、社会からはみ出した者同士。一生懸命社会との絆、人との絆を取り戻そうとします。子供のように誰にでも愛を注ぎ、ゆえにトラブルを巻き起こすロバンソン。そんなロバンソンをお荷物に思いながらも、彼の”人を愛する”力にガスパールは憧れていたのでしょう。
トニー・ガトリフ監督のまなざしはいつもはみ出したもの、漂うものへの優しさにあふれています。本作は、男二人が小さいながらも自分たちの夢をかなえる物語のように思えます。しかしながらその終わりは絆というもの、業というものを正面から突きつけられる切ないものです。それでもガトリフ監督はあたたかいまなざしを向け続けます。いえ、むしろ私たちに出来るのはそれだけなのです。そんな私たちだからこそ、また明日から絆を捜し求めるのでしょう。

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