D-Movie(No.527)

・邦題:『フリー・ゾーン 〜明日が見える場所〜』
・原題:『FREE ZONE』
・監督:アモス・ギタイ
・脚本:アモス・ギタイ他
・キャスト:ナタリー・ポートマン、ハンナ・ラズロ他
・制作:2005年/イスラエル、フランス、ベルギー、スペイン
・ジャンル:ドラマ
・上映時間:92分
・評価:★★★


【 ストーリー 】
イスラエルにやってきたが、婚約者と別れ傷心のアメリカ人のレベッカ(ナタリー・ポートマン)。一緒に車に乗っていた運転手のハンナ(ハンナ・ラズロ)に”どこでもいいから連れて行ってくれ”と頼む。しかし、ハンナは夫の用事でヨルダンのフリー・ゾーン(自由貿易区域)に行かなければならず、その申し出を断る。それでもとにかく”この国を出たい”と頼むレベッカ。結局ハンナは彼女と共にヨルダンに向かうことにするが...。

【 コメント 】
2001年9月11日にアメリカで発生した同時多発テロ事件をテーマに作られたオムニバス作品『11'09''01/セプテンバー11(イレブン)』(2002)。で”イスラエル編”を制作したアモス・ギタイ監督作品。ナタリー・ポートマン演じるアメリカ人女性レベッカを中心に、ドキュメンタリータッチで中東の情勢をクールに描き出しています。

映画の冒頭は中東の叙情あふれるメロディー(ただ歌詞は辛辣)をバックに、レベッカが延々と涙する場面から始まります。そこから先は、レベッカの個人的な理由による彷徨と、レベッカと共に旅するイスラエルの女性ハンナ、そしてパレスチナの女性レイラの二人による民族を背景とした対立とが並列して描かれます。

中東の民族問題を理解していないと非常に難しい作品ですが、作中に登場するさまざまな隠喩や皮肉をこめられた描写からは、中東が抱える民族問題の複雑さと奥深さが伝わってきます。フリー・ゾーン(自由貿易区域)には、さまざまな国の人々がいて、商売を軸に交流しています。一見、そこには民族間の対立を脇に置いたコミュニケーションがあり、ある種の平和を感じさせますが、そこで取引されているのは戦争のための”武器”。ナタリー・ポートマンをそのまま”アメリカ”という国のメタファーと捉えると、彼女の取る不可解な行動や言動が、そのまま現代におけるアメリカの中東問題に対する中途半端な態度に重なります。また、これらの3人の女性が同じ車で旅をする最中、ラジオから流れる流行の音楽が彼女たちの心を一つにしますが、そこに希望を感じさせながらも、やはりそれがテロの臨時ニュースで中断されたり、結局はお互いの考え方や立場を相容れなかったりと、決して楽観的に描いていません。
作品のほとんどが日本では未公開となっているアモス・ギタイ監督。遠くの国のことではすまされない、現実がここに描かれています。
ちなみに本作は2005年のカンヌ国際映画祭にて、パルム・ドールにノミネート、ハンナ・ラズロは女優賞を受賞しました。

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