D-Movie(No.672)

・邦題:『あの夏の子供たち』
・原題:『LE PERE DE MES ENFANTS』
・監督:ミア・ハンセン=ラヴ
・脚本:ミア・ハンセン=ラヴ
・キャスト:キアラ・カゼッリ、ルイ=ド・ドゥ・ランクザン他
・制作:2009年/フランス
・ジャンル:ドラマ
・上映時間:110分
・評価:★★★


【 コメント 】
第62回カンヌ国際映画祭のある視点部門で審査員特別賞を受賞した家族ドラマ。監督はこれが長編2作目となるミア・ハンセン=ラブ。彼女の長編第1作をプロデュースするはずだったアンベール・バルザンの自殺がベースとなっているようです。

映画プロデューサーのグレゴワール・カンヴェルは、40歳半ばまで数多くの映画を手がけ、すばらしい作品を次々に世に送りだしてきた。毎日、携帯電話を片手に忙しい日々を送りながら、妻と3人の娘たち家族のことを大切にする父親でもあった。ところが、予算を守らない監督や進まない撮影など、さまざまな状況が重なり、会社の経済状況が悪化。銀行や債務先と交渉してなんとか切り抜けようとするが、積み重なった借金はどうにもならず、救済の道はすべて閉ざされてしまう。そして、追い詰められ、思い悩んだ彼はついに自ら命を絶ってしまう。残された妻と娘たちは、そんな彼の意思を継ぐべく、彼の会社を存続させようとするが...という物語。

とにかく冒頭からルイ=ド・ドゥ・ランクザン演じるカンヴェルはしゃべりっぱなし。会社のスタッフ相手や携帯電話でずっと話をしています。家族たちと楽しく過ごすシーンもそれなりに出てきますが、やっぱりしゃべっています。それが1時間近く続くので、中盤までは、この物語がどこにたどり着くのか一向に見えないままです。そして訪れる突然の死。もちろん、会社の行く末を案じてのことだと思いますが、その理由は明確には語られません。見るも無残に追い詰められていく描写もありません。彼を失った家族の悲しみも描かれますが、物語はその後について語ります。時に妻の視点、時に長女の視点で。結局、わかりやすい感動も、ハッピーエンドもないのですが、この徹底的にクールな視点によって、すべてが大きな流れの中の一部であるような印象を受けます。それはどこか清清しささえ含んでいます。家族の愛の深さ、そして愛だけでは許容できないもの。それこそが人生であることをこの映画は優しく伝えてくれます。

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送