D-Movie(No.500)

・邦題:『Jの悲劇』
・原題:『ENDURING LOVE』
・監督:ロジャー・ミッシェル
・脚本:ジョー・ペンホール
・キャスト:ダニエル・クレイグ、サマンサ・モートン他
・公開/制作:2004年/イギリス
・ジャンル:ドラマ
・上映時間:101分
・評価:★★★


【 ストーリー 】
ある日の午後、大学教授のジョー(ダニエル・クレイグ)と彫刻家のクレア(サマンサ・モートン)が草原でピクニックを始めようとした矢先、少年を乗せたままコントロール不能になった大きな気球が目の前に現れる。ジョーと現場に居合わせた三人の男たちはあわてて走り寄り、気球を止めようとするが失敗。最後まで気球につかまっていた男性が死亡してしまい、ジョーはそのことで心に傷を負ってしまう ...。

【 コメント 】
ブッカー賞作家イアン・マキューアンの世界的ベストセラー『愛の続き』を『ノッティングヒルの恋人』(1999)、『チェンジング・レーン』(2002)などのロジャー・ミッシェル監督が映画化したサスペンス風ドラマ。
恋人とのピクニック中に起きた事故が元で、混沌とした世界に引きずり込まれていく男の日常を描いた物語。主演の大学教授のジョーを007新シリーズの立役者ダニエル・クレイグが、恋人役のクレアを『マイノリティ・リポート』(2002)のサマンサ・モートンが演じています。ダニエル・クレイグに付きまとう男ジェッドは『ヒューマンネイチュア』(2001)のリス・アイファンズが怪演。

彫刻家の恋人クレアと広い草原でピクニックを楽しむジョー。何の変哲も無い恋人同士のデート。そこへ現れたコントロール不能の気球。草原の鮮やかな緑に気球のヴィヴィッドな赤、色彩が印象的な映像とは裏腹に、冒頭から物語を包むのは限りなく不穏な空気。ドラマがどういう方向に進んでいくのか見えないところが期待感を煽ります。風に煽られ、人間を引きずりながら暴れる気球が引き起こした悲劇。そして、その場で「祈りを捧げよう」としつこく迫るジェッドの存在が、この出来事が、関わった人々に影響を与えるであろうことを暗示します。
時折挿入される心象風景的な映像やトリッキーな映像の効果もあって、途中までは単なるサスペンスではないミステリアスな雰囲気のドラマとして進行します。さらにジェッドの偏執狂的な振る舞いと、ジョーの心理描写があらわになるにつれ、物語はますます混迷を深め、同時にサスペンス度も高まっていきます。
イギリスの映画らしい、不条理さを内包したままの展開する脚本は面白いと思うのですが、その割りにラストが単純で残念でした。余韻の残し方もサスペンス映画には良くある手法。突出した非凡さを持つまでには至りませんでしたが、それでも俳優陣と映像の力も相まって、インパクトの強い作品になっていると思います。邦題はちょっと残念。

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