【 コメント 】
結婚、出産などで一時期女優業を休業していたジュリア・ロバーツの久しぶりの主演復帰作。元CIAの産業スパイとして企業家達の思惑がうごめく舞台で活躍します。相手役は『クローサー』(2004)以来の共演となるクライヴ・オーウェン。すっかりハリウッドの顔となりましたね。
トイレタリー業界最大手の老舗メーカーB&R社と新興企業エクイクロム社はシェアトップをめぐり、社長同士がライバル心むき出しで熾烈な戦いを繰り広げていた。そんな中、B&RのCEOタリーが画期的な新製品を発売するという情報をつかんだエクイクロム社のCEOガーシックは、産業スパイを使ってその情報を盗み、直前に控えた株主総会で先に自社の情報として発表しようと画策。かねてよりB&Rの動向をチェックしていた元CIAのクレア、元MI6の諜報員で新たに産業スパイとして活動を開始したレイらを中心に、企業の生き残りをかけた情報戦が始まる...という物語。
ひとくせもふたくせもあるスパイたちが暗躍するサスペンスドラマなんですが、あくまでも”産業スパイ”なので、アクションや戦闘シーンはほとんどありません。つかまったスパイの拷問もなし。純粋に相手をいかに出し抜くか、裏切ったり裏切られたりが本作の見所です。そこにジュリア・ロバーツ演じる元CIAのクレアと、元M16のレイの恋愛物語が絡んできます。
最初から最後までどんでん返しの連続で、ちゃんと筋を追っかけないと訳がわからなくなります。さらに時間軸をずらした描写やマルチスクリーンなどの演出も使われていますのでさらに忙しいです。ストーリー的には面白いのですが、このあたりの演出が効果的かどうかはちょっと微妙。クレアとレイの恋愛ドラマとしてみてもちょっと甘さが足りないような気がしました。ジュリア・ロバーツ、クライヴ・オーウェンと2大スターが共演している割には地味な印象ですし、いろいろと詰めが甘いところがありますが、スパイものが好きな人には楽しめる作品ではないでしょうか。
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