D-Movie(No.546)

・邦題:『悪魔とダニエル・ジョンストン』
・原題:『THE DEVIL AND DANIEL JOHNSTON』
・監督:ジェフ・フォイヤージーク
・脚本:ジェフ・フォイヤージーク
・キャスト:ダニエル・ジョンストン、キャシー・マッカーティ他
・制作:2005年/アメリカ
・ジャンル:ドキュメンタリー
・上映時間:110分
・評価:★★★★


【 コメント 】
トム・ウェイツ、カート・コバーン、ジョニー・デップなどなど、世界中のミュージシャンやアーティストから敬愛されるダニエル・ジョンストン。あまりにも繊細であるがゆえに精神のバランスを崩し、妄想の中の悪魔の存在に悩まされながらも、アーティストとして自らの道を進み続ける彼の半生を捉えたドキュメンタリー作品。
最初に登場するモノクロ映像。それはダニエルの近年の姿を伝えるライブの映像なのですが、そのどこか病的な恰幅の良さとまるで赤ん坊のような歌声のギャップに驚かされます。
幼い頃から音楽と絵に特別な才能を発揮したダニエルですが、彼が興味を引かれたロックやマンガといったアートは、保守的な両親にとっては軽蔑すべきものだったようです。特に母親から罵倒されたことは彼の心に大きな傷を負わせます。映画はそんな彼の生い立ちから始まり、友人たちとの交流、成功と挫折など、彼が生きてきた軌跡を赤裸々に映し出します。

彼自身、自ら主演した映像作品や自分の声を録音したカセットテープなどを多く残しているため、第三者のインタビューによって構成されたドキュメンタリーとは一線を画す生々しさに溢れています。もちろん友人や家族の証言も並行して挿入されるため、彼が孤独ではあったものの、多くの人に愛され支えられていた様子も伝わってきます。MTVに飛び入りで登場したり、薬の使用による多少の奇行もあったりしたようですが、とんでもない事件を多発するような破滅型の要素はそれほど強くは感じられず、その分、誇大妄想に取り付かれ浮き沈みを経験しながらもアーティスト活動を続けるダニエルの純粋さが浮き彫りになっていると思います。
家族に支えながら年齢を重ね、白髪が混じりながらもなお、喉から絞り出すような歌声と切ないメロディと歌詞によって孤高の音楽を生み出す彼には、やはり”天才”という資質を感じずにはいられません。そしてまたそれゆえに悩み多き人生を背負ってしまったのでしょう。

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