【 コメント 】
『フラッシュダンス』(1983)、『ビバリーヒルズ・コップ』(1984)などなど、数々のエンターテイメント作品を世に送り出しているジェリー・ブラッカイマー製作のアクションドラマ。監督はこれが長編デビューでヒット作となったサイモン・ウェスト。フランシス・フォード・コッポラを叔父に持つサラブレッドのニコラス・ケイジと演技派ジョン・キューザックを主演に、実在するアメリカ連邦保安局の空輸隊で、出廷、医療緊急事態、囚人輸送などを行う”コン・エアー”を舞台に、脱走を図る凶悪な囚人たちと、彼らの計画に巻き込まれた正義感あふれる元軍人の戦いを描いたドラマ。

場末の酒場で働く美しい妻をめぐって不運な事件に巻き込まれ、８年の刑期を言い渡されるはめになった元軍人のキャメロン・ポー。刑務所に入ってから生まれた娘にはまだ一度も会えないまま。やがて待ちに待った仮出所の日となり、連邦保安局の囚人を輸送する空輸機（＝コン・エアー）に乗り込む。数時間後には、愛する妻と娘に会えるはずだったが、その空輸機には天才的な凶悪犯のサイラス率いる囚人グループが同乗。彼らの綿密な計画の元、空輸機はハイジャックされてしまう。正義感あふれるポーは自らの危険を顧みず、凶悪犯たちと立ち向かう決意をするが．．．という物語。

さすがジェリー・ブラッカイマー製作の作品だけあって、最初から最後まで息をもつかせぬ展開でぶっ飛ばします。荒唐無稽な物語でありながら、それなりにリアリティを保っているあたりも彼ならでは。派手なアクション、先が見えない展開を楽しむにはもってこいの作品です。ただ、主人公ポーを演じるニコラス・ケイジの長髪・ムキムキの肉体がすでにやりすぎ（笑）。さらに本作は、閉じられた空間が最初の舞台となるためか、とにかく濃いキャラクターが次々と登場します。ジョン・マルコヴィッチの凶悪犯やコルム・ミーニイのお間抜け捜査官はまだしも、スティーヴ・ブシェミの登場はもはやコント。結果、ラストも感動はなし。良くも悪くもまさにハリウッド映画。