D-Movie(No.619)

・邦題:『ブコウスキー:オールドパンク』
・原題:『BUKOWSKI: BORN INTO THIS』
・監督:ジョン・ダラガン
・脚本:ヴィクター・リヴィングストン
・キャスト:チャールズ・ブコウスキー、リンダ・リー・ブコウスキー他
・制作:2002年/アメリカ
・ジャンル:ドキュメンタリー
・上映時間:113分
・評価:★★★★★


【 コメント 】
アメリカ文学界にツバを吐き、自分の信じる道を貫いた詩人であり作家のチャールズ・ブコウスキー。およそ社会のルールや規範と言った範疇に収まらない問題児でありながら、人間の本質をさらけ出す彼の作品群は、世界数十カ国で翻訳され、多くの人から今なお愛され続けています。
本作は、チャールズ・ブコウスキーの生前の貴重なインタビューや映像、知人・友人などのインタビューを交えて、彼の生き様に迫るドキュメンタリー作品です。監督は、アップルコンピュータなどのCMを手がけた経歴があり、本作がデビュー作となるジョン・ダラガン。リサーチと撮影に7年を費やし、延べ150人以上にインタビューを敢行し、本作を完成させました。

まさに”異才”の人、チャールズ・ブコウスキー。個人的にも最も好きな作家です。描かれるテーマは決して上品とは言えず、中には犯罪やどう考えてもモラルに欠けるものを取り扱ったものも多いのですが、逆にいうと、どんなものを描いても、人間の本質やその奥にある優しさがにじみ出るのがブコウスキー作品の素晴らしいところ。そして彼の魅力はその生き様。幼い頃に虐待を受け、作品が世に出ず郵便配達の仕事に従事、それでも魂を腐らせることなく自らの道を貫いた男。男なら誰しもが、こういう風に生きたい、と思うのではないでしょうか。
本作には、彼の妻や娘、彼の大ファンである、ボノ、ショーン・ペン、トム・ウェイツなどの大スターも登場。彼の孤独で愛に満ちた人生が浮き彫りになっています。”映画”つながりでいうと、彼が脚本を手がけた『バーフライ』(1987)について言及しているところがありまして、主人公ヘンリー(ブコウスキーがモデルです)を演じるミッキー・ロークが酔っ払って叫ぶ場面で、「あんなに怒鳴りはしない、俺はもっと静かに言うんだ」という内容の発言があります。これなんかはブコウスキーが単なる酔っ払いではない、深遠な孤独に生きていることを表していて鳥肌が立ちます。映画そのものが美しい詩のような作品。

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