D-Movie(No.545)

・邦題:『迷子の警察音楽隊』
・原題:『THE BAND'S VISIT』
・監督:エラン・コリリン
・脚本:エラン・コリリン
・キャスト:サッソン・ガーベイ、ロニ・エルカベッツ他
・制作:2007年/イスラエル、フランス
・ジャンル:ドラマ
・上映時間:87分
・評価:★★★★


【 ストーリー 】
1990年代のイスラエル。エジプトのアレクサンドラ警察音楽隊は文化交流のために招かれてイスラエルにやってきた。だが、何かの手違いで出迎えがなく、仕方なく団長のトゥフィーク(サッソン・ガーベイ)は自力で目的地にたどり着こうとするが、目的地と一文字違う街にたどりついてしまう。何もない街で途方にくれている彼らに、カフェの女主人ディナ(ロニ・エルカベッツ)が宿を提供すると申し出る...。

【 コメント 】
エジプトからイスラエルに交流のためにやってきたアラブ人による警察音楽隊が、目的地を間違えてしまったために、イスラエルの田舎町に到着し、地元のユダヤ人たちと一晩を過ごすことになるという物語。
冒頭から音楽隊の青い制服が印象的です。そして言葉少なく音楽を交えながら朴訥と進む展開も、コミカルな演出と相まってほんわかした空気をかもし出しています。どこかアキ・カウリスマキの映画に通ずるゆるさがあるように思います。
ひょんなことから宗教も価値観も違う人々と一夜を過ごすことになった音楽隊の面々。一義的には相容れないものがあることは認識しながらも、閉ざされた場の中で戸惑いながらも少しずつ心を開いていく様子からは人間の持つ温かみが伝わってきます。前半はそういったぎくしゃくとした交流を中心に描いていますが、後半は団長トゥフィークとカフェの女主人ディナとによる、人生の下り坂に差し掛かった男女の恋愛物語という趣きを帯びてきます。
普通の生活、というものがあるとするなら、たとえその場に居合わせたのが敵同士であれ、そこで話し合われるのは家族のこと、音楽のこと、恋愛のこと、子供のこと。音楽によってお互いが理解しあう、というようなハッピーエンドはありませんし、一晩を共に過ごすことで宗教を越えた相互理解が生まれる、ということもありません。それでも人と人、家族と家族がちゃんと向き合って話し合えば、少しでも心が通じ合うのではないかというポジティブなメッセージは読み取る事ができます。中東が抱える問題は非常に複雑です。途中紛争を思わせる写真が映し出される場面もあります。そういったメッセージをもっとこめようと思えば出来たでしょう。ひょっとしたら喧嘩のひとつふたつ、加えれば山場ができたかもしれません。それでも監督は微妙な立場・距離間にある人々の交流を静かに描くことで、人間の弱点や尊厳をそのままあぶりだしています。派手さはありませんが、何度も見たくなる作品です。

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