【 コメント 】
たまたま大きなエレベーターに居合わせた4人。バイク便の配達員のエリック、ビルの掃除婦サンドラ、エリートビジネスマンのマイケル、そして妊娠9ヶ月半の妊婦ジェニファー。ところがそのエレベーターが事故によって突然停止。普通ならそのまま救出を待てばいいのですが、そこで一人が心臓発作を起こします。さらにビジネスマンのマイケルは携帯電話で人生を左右する商談の真っ最中。たった4人にも関わらず、このマイケルが自分中心に振舞ったことからトラブルが発生。さらにジェニファーも産気づき...果たして4人は無事救出されるのか?という物語。
ヴィンチェンゾ・ナタリ監督の『CUBE』ばりの密室シチュエーション、『ソウ』シリーズを髣髴させるDVDジャケット。さらに刻まれたコピーは”ソリッド・シチュエーション・ホラー”&”さあ、ゲームをはじめよう”。とくれば、まさにこの2つを足したような映画を想像されるかもしれません。しかしながら...内容は全然違います。発売元は映像製作会社トランスフォーマー。さまざまな映画作品をB級っぽいパッケージで販売することも多いこの会社、ある意味確信犯かもしれません。
密室劇であることは確かですし、銃も登場します。発砲もされます。血も流れます。しかしながら、これは”ホラー”ですらありません。偶然同じエレベーターに閉じ込められるという、非日常的な状況下で繰り広げられる人間ドラマです。タイトルの”ファイブ”にはさまざまな意味が込められていると思います。お腹の中の子供も含めた5人という意味、作中登場する時間としての”5”秒など。
いずれにしても、本作は異常な空間の中で、あらためて”生きる”ことの意味、”死”の存在について問う物語といった方が近いと思います。
ということで、本当に”ソリッド・シチュエーション・ホラー”をお求めの方にはまったくオススメできませんが、緊迫した状況下での人間ドラマとしては一応成立していると思います。
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