管理人によるコラムです。
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『2008年のベスト』(No.358/2008.12.26)

2008年度最後の配信となりました。今年もご覧いただきましてまことにありがとうございました。何とかまた無事に毎週発行をまっとうすることが出来ました。みなさんのおかげです。あらためて感謝。
ここ数年、ブログの隆盛すさまじく、『D−Movie』についてもブログにしようかどうか考えたこともあるのですが、過去作品の一覧性ではやっぱりホームページの方が見やすいのかなあとか、いろいろ考えた結果見送りました。何かご意見などありましたらぜひ賜りたいと思います。よろしくお願いします。

さて、毎年のことながら、なかなか劇場には足を運べていないのですが、その中でも年間No.1を決めてみたいと思います。これは文句なくコーエン兄弟の『ノーカントリー』でしょう。全編に流れる圧倒的な緊張感、正しい不条理とでも言うべき居心地の悪さ、完璧でした。内容に比べるとラストの余韻がちょっと弱い気がしますが、コーエン兄弟の作品だからこそ、そこまで求めてしまうわけで。

それ以外で心に残った作品は、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』、『TOKYO!』『靖国』『潜水服は蝶の夢を見る』あたりでしょうか。全体的にはやはりファンタジックな作品が多かった気がします。
今月公開された映画での注目株は、まだ観ていませんがマーティン・スコセッシの『ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト』ですね。すでに観た知人の評価がかなり良いので気になっています。何といっても『ラストワルツ』(1978)を撮った監督ですから。

ということで、また来年も週一回は映画に触れていただくべく、続けてまいりたいと思います。よろしくお願いします。良いお年を。

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『拡散』(No.357/2008.12.19)

寡作の作家として知られる漫画家・小田ひで次さん。緻密に描きこまれていながらどこか温かみのある絵柄や、哲学的かつ寓話的なストーリー展開が個人的にファンです。
その小田ひで次さんの作品で、絶版になっていた作品「クーの世界」(秋田書店)、「拡散」(上・下/エンターブレイン)、「続・ミヨリの森の四季」(秋田書店)が先月同時に発売されました。
小田さんはうちのギャラリーにも出展してくださっていて、いろいろお話を伺ったのですが、今回、出版社が異なる作品が同時に発売されたのは、実は偶然で、それぞれの作品の担当の方がちょうど同じ時期に再発に向けて動いたらしいです。こういうこともあるんですねえ。個人的にはほとんど持っているのですが、今回の再発では装丁も新しくなっていて、やっぱり揃えたくなってきます...。

ちなみに、そんな寡作な小田さんの新作『おはようひで次くん!』が、今、ネットコミックとして販売されています。これは上記4作品とは全然違う趣で、小田さんの自伝的作品なんですが、これが面白い。まず、『拡散』を完成させた後、日々まったりと過ごしている小田さんの元に、以前付き合いがあり、小田さんに思い入れのある編集者がやってきて、小田さんにダメ出し(それも結構きつい)をするところから始まります。もちろんフィクションも含まれていると思いますが、小田さんの精緻な絵のタッチもあってか、リアリティもあるし説得力もあります。深い...。これはいつかちゃんとした本として出版して欲しいなあ。

ちなみに寡作な小説家と言えば『羊たちの沈黙』の原作者トマス・ハリスが有名ですが(今のところ33年間で5冊)、2006年の『ハンニバル・ライジング』の後、新作にとりかかったという噂すら聞きませんねえ。期待しているのですが。

・小田ひで次公式サイト:http://www.odahideji.com/

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『ワイエスの道程』(No.356/2008.12.12)

渋谷の東急Bunkamuraザ・ミュージアムにて、アンドリュー・ワイエスの展覧会『アンドリュー・ワイエス−創造への道程(みち)』展を観ました。
アンドリュー・ワイエスはアメリカン・リアリズムを代表する画家で、水彩やテンペラを使用し、失われつつあるアメリカの原風景を、90歳を超えた今もなお描き続けています。
今回は、”創造への道程”というサブタイトルのとおり、未公開の水彩・素描などが数多く展示されている貴重な展覧会です。

個人的にワイエスを知ったのは5〜6年前だったと思いますが、最初に観た時に、「これはアンドレイ・タルコフスキーの映像そのままだ」と思いました。それ以来、ワイエスは最も好きな画家の一人となっています。もちろん、ワイエスが描いているのはアメリカ。しかもそのほとんどが、彼が人生の多くを過ごしたペンシルヴェニア州やメーン州という限られた風景。タルコフスキーはロシアの映画監督なので、全く接点は無いのですが、彩度が低く、質実で深みのあるワイエスの絵は、私にとってタルコフスキーの『鏡』そのままの印象でした。

ワイエスと言えば足の不自由な女性クリスティーナを描いたシリーズや、ドイツ系のヘルガという女性を描いたシリーズが有名で、そのあたりの作品は今回の展覧会にはほとんど登場しないのですが、それでも貴重な習作や素描がこれだけあれば納得です。とは言え、そのプロセスを楽しむと言うより、その前に立つと否応なしに対峙させられてしまうのがワイエスの絵のチカラであり魅力。動かない旅、がここにあります。12月23日まで。ぜひ。

・Bunkamuraザ・ミュージアム
http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/08_wyeth/

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『バーン&イーノ』(No.355/2008.12.05)

オススメCD紹介です。
1981年に、トーキング・ヘッズのフロントマン、デヴィッド・バーンとアンビエントの創始者ブライアン・イーノの二人の共作によってリリースされたアルバム『My Life In The Bush Of Ghosts』。さまざまなアプローチによる実験精神に溢れながら、新しい時代のワールド・ミュージックとでも呼ぶべき世界を構築した作品でした。この後、トーキング・ヘッズはアフリカのリズムをさらに貪欲に取り入れた80年代の金字塔『Remain In Light』をリリースするのですが、そういう意味では早すぎた傑作だったと思います。

...ですが、今回ご紹介したいのはこの作品ではありません。いやこれももちろんオススメなんですが、あれから27年経った今、何とまたこの二人によるアルバム『Everything That Happens Will Happen Today』がリリースされたんです。まさかの2作目。驚きました。
実験的な音空間で構成されていた前作に比べ、本作はバーンのボーカルが入ったメロディアスな曲も多く、比較して聴くとかなりポップに聞こえます。ただ、単純に聴きやすいというわけではなく、良い意味でのひねくれ度合いが心地よく響きます。やはりオススメ。

そう言えば前作『My Life In The Bush Of Ghosts』って、映画のサントラだった気がするのですが、あらためて調べてみてもそういう事実に行き当たりませんでした...。勘違いだったのかな。

ちなみに本作のリリースにあわせ、来年の1月にデヴィット・バーンが7年ぶりに日本ツアーを行うそうです。ブライアン・イーノもコールドプレイのニュー・アルバムをプロデュースしたり、iPhone用の音楽アプリケーション「Bloom」をリリースしたり、相変わらず活躍中。いや、元気ですねえ。

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『クラウドコンピューティング』(No.354/2008.11.28)

最近、コンピュータの利用形態として、「クラウドコンピューティング」という考え方があるようです。まだまだ定義ははっきりとしていないような感じもしますが、簡単に言うとユーザーがインターネットを通じてさまざまなサービスを受け、その利用料金を支払う仕組みだそうで、今まではユーザー側に必要だったハードウェアやソフトウェアが必要なくなるとのこと。ブログが登場したりSNSが流行ったり、本当にコンピュータの世界はダイナミックですね。

クラウドコンピューティングはネットワークの進化系とも呼べるもので、ユーザー側のメリットは大きいと思いますが(メーカーの都合でOSを買い換えたり、パソコンを買い換えたりする必要がなくなります)、どのようなサービスを何の目的で使っているか、なんて情報がサービスの提供側に筒抜けになる気もします。そう考えるとちょっと怖い。ただ、ハードウェアが必要なくなるのであれば、ひょっとしたらユーザー側のインターフェイスに一大革命をもたらすかもしれませんね。

例えば、寝ながらやりたい人にはそういう操作機器、手を使いたい人は手で使う用の、足を使いたい人は足で使う用の、など、さまざまな可能性が生まれるかもしれません。
インターフェイスの開発って今ひとつブレイクしていない気がしますが、クラウドコンピューティングの浸透によっては、キーボードやマウスなどの入力機器が一気に”過去の遺物”になるかも。今、手を使わずに脳波によって画面の人やモノを操作するゲームがあるそうですが、頭で考えるだけで入力できたり、ソフトウェアを操作できたりするとすごいでしょうね。さらに寝ている間に原稿が出来るとか。そりゃもうインターフェイスの問題じゃないか。

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『小規模な生活』(No.353/2008.11.21)

講談社の『モーニング』という雑誌に連載されていた、福満しげゆき氏による『僕の小規模な生活』という漫画があります。
漫画家を目指して日々奔走する主人公の”僕”(=福満氏本人)が、自分自身の生活を綴った物語。若くして結婚したことで生活費も必要になり、仕事に就くも長続きせず、妻を働かせて生計を立てるというダメぶりを発揮する一方、エロ漫画を皮切りに漫画の仕事もそれなりに依頼があり、単行本も出版されるなど、微妙な立ち位置での生活が赤裸々に語られます。

この作品が、単なる内情暴露ものと一線を画すのは、主人公の人間性がリアルにさらけ出されているところ。特に面白いのは出版社の編集者(すべて後姿で登場します)とのやりとり。異なる出版社からの依頼を天秤にかける様子をそのまま描いたり、編集者の人間性を良いところも悪いところもストレートに描写したり、まあよくここまで描けるなあ、という内容。
主人公”僕”は、些細なことで落ち込むわけですが、それでいて、計算高いところがあり、そのギャップが面白いです。単行本1巻目からなかなか次が出なかったのですが、先日とうとう第2巻が出ました。その表紙には、主人公の”僕”が登場し、「何年も漫画描いてますが、「2巻」が出たのは生まれて初めてですよ!」という台詞を吐いています。あなどれません...。
来年の春から『モーニング』紙上での連載も再開されるようです。楽しみです。でも大丈夫かなあ。

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『感動を作る』(No.352/2008.11.14)

仕事でちょっと遠出(と言ってもホントにちょっと。例えば電車で1時間程度移動が必要など)するときなどに、さくっと読めるもの、と考えてよく新書を買ってしまいます。ちょうどいいんですよね。
でも、そういう”ノリ”で買うと結構当たり外れもあります。最近では、かなり扇動的なタイトルも多いですから、タイトルだけで選ぶと失敗することも結構あったり...。新書ってだいた700円前後ですから、高くはありませんが、文庫本を買うことを考えれば、決して安くもありませんからね。

でも最近買った新書は”当たり”でした。作曲家・久石譲さんの『感動を作れますか?』(角川書店)という本です。
映画音楽を中心に手掛けられ、特に宮崎駿監督作品や北野武監督作品には欠かせない存在となっている久石氏がクリエイティビティについて語ったものですが、非常に共感できる内容でした。
「プロとはモノづくりを続けられる人のこと」。つまりちゃんと多くの人の心に響く作品を作り、経済的にも成り立つモノが作れないとプロとして世の中に存在し得ないということ。「実質稼働率をあげろ」。日本人が働き者だったのは一昔前の話で、最近は目標も見えにくく、会社にいる時間は長いが実質的にはどうなのかと。
芸術に関する理論だけでなく、モノ作りの姿勢や、労働の効率についても語られるあたり、やっぱりちゃんとプロとして活躍している方は、ちゃんとそういうことを考えているんだなあと。アーティストのみならず、サラリーマンが読んでも参考になる本だと思いました。

ちなみに、これはネットで調べたのですが、「久石譲」の名前は、クインシー・ジョーンズに由来するそうです。”クインシー”→久石、”ジョーンズ”→譲だと。...なるほど。

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『変革の時』(No.351/2008.11.07)

昔、突撃レポーター的存在のマイケル・ムーアが監督したドキュメンタリー映画『ロジャー&ミー』(1989年)を観た時、この強力な自浄作用とでも言うべき市民の行動力がアメリカの強さなんだ、と思いました。時に自虐的に、時に攻撃的に、真正面から”言葉”を駆使して相手と向かい合う。良し悪しは別にして、そういう文化にあらためて驚嘆したものです。
映画とは関係ありませんが、ビル・クリントンが46歳の若さでアメリカ大統領に就任したときもそう。最年少ではありませんが、この年齢の人間に国の行く末を託すアメリカ国民の選択をリアルタイムで見て驚きました。

そして今回のアメリカ大統領選。民主党のバラク・オバマ上院議員が共和党候補のジョン・マケイン上院議員を破り、44代目の米大統領に決定。米史上初となる黒人大統領の誕生。オバマ氏は勝利演説で言いました。「この勝利が誰のものかを私は決して忘れない。あなたたち(米国民)のものなのだ」と...。
このリアリティ、なんですよね。大事なのは。民主主義と言っても、結局国民が選んだと言うリアリティがないと意味がないと思うんです。そういう、ものが見えないところでうまい具合に物事が決まっていくと言うのも、いろいろと都合が良い部分もありますが、特に国の状態が良くないときには、このリアリティが人々を変え、国を変えていく原動力になる気がします。
黒人と言うことが”変化”の象徴になったということなんでしょうね。確かに、勝利演説を聴いていると、何か国民の中に”何か良い変化がもたらされるのでは”という期待が生まれます。もちろん、その期待に応えられるかどうかはこれから判断されるわけですが。さて、次はいよいよ日本。私たちが選択する番です。

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『渋アト』(No.350/2008.10.31)

今月から、渋谷にある専門学校・日本デザイナー学院さんで、非常勤講師として授業を持たせていただいています。テーマは「アートマネジメント」。

テーマに沿ったいろんな講義も行いますが、基本的には来年の1月に、渋谷の3ヶ所のスペースで学生さんたち5〜6名のチームによる個展を行うというアートイベント『渋谷アートトライアングル』の企画・運営を行います。
各チームはアーティスト、キュレーター、プロデューサー、広報、レポーター、という風にそれぞれ役割に分かれており、みんなで力をあわせて個展を作り上げるというプロセスから、個人の社会化や地域へのまなざし、コミュニケーションの重要性といった内容を学んでもらおうというプログラムです。

昔から人前で話すのはあまり好きではないのですが、まあなんとかやってます。大変な部分が多いけれど、やっぱり人に教えるというのは勉強になりますね。
今回は、渋谷に学校がある=渋谷に毎日のように来る=渋谷が地元的存在になる、という論法から、渋谷という地域にまなざしを向け、いろんなつながりを大事にしながら、イベントを作っていこうとしています。で、自分たちのためのイベントでありながら、そういう視点を忘れなければ、結果的にそれが地域のためにもなるだろうと。ここ10年来、ギャラリーを含めてやってきたことを渋谷でまた実験しているような感じです。

こちらもそうですし、学校側も、学生たちも、また場所を提供してくださる方々も、みんな始めての試みで、試行錯誤の日々ですが、良い結果を出したいと思います。..とはいえ、一番大変なのは学生たちとのジェネレーションギャップだったりして(笑)。みんな若いです...。

・渋谷アートトライアングル:http://233.jp/sat/

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『ハンマースホイ』(No.349/2008.10.24)

ここ何日かで、偶然、数人の方から同じ美術展を進められました。それも、その美術展が話題になっているからとか(いや、実際なってはいますが)、とにかく見ておいたほうが良い、というような理由ではありません。”私”が非常に気に入るだろう、とのことで勧めてくださっているのです。
それは上野の国立西洋美術館で開催中の『ヴィルヘルム・ハンマースホイ』展です。いろんなメディアでもPRされていることもあって、気にはなっていましたが、作家のことも全然知らず、今まで足を運んでいませんでした。チラシとWEBしか見ていないのですが、”静かなる詩情”と銘打たれたサブタイトルの通り、人間の所作、建物や風景の佇まいの中で、時間が止まった一瞬を捉えたとでも言うべき情景が描かれています。いいですねえ。

先般ご紹介したBunkamuraザ・ミュージアムで開催されていた『ジョン・エヴァレット・ミレイ』展もそうですが、みんなが写真家となった日本では、こういった一枚の絵の中にさまざまな物語が感じられる絵画というのは、世代を問わず受け入れられるのかもしれませんね。
ちなみに、『ヴィルヘルム・ハンマースホイ』をご覧になった、とある方が「...救いがなかった...」と感想をおっしゃっていました。うむー、そういう絵画をみんなから進められる私ってどうなんでしょうか(笑)。もちろん、絵画でも映画でもそういうの大好きですが...。

国立西洋美術館:http://www.nmwa.go.jp/jp/

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『ディアフーフ』(No.348/2008.10.17)

オススメCDご紹介。ここ数年注目を集めているアメリカ発のインディーズ・レーベル『Kill Rock Stars』。インディーズスピリットを貫き通し、実験的でオリジナリティあふれるバンドを次々と送り出しているこのハッピーなレーベルの看板的存在が「DEERHOOF(ディアフーフ)」というバンド。そんな彼らの最新アルバム「Offend Maggie」が発売になりました。ジム・オルークなどの仕事でも知られる五木田智央氏が手がけているCDのアートワークがシンプルだけどものすごいインパクト。即買いです。で、実際に聞いてみるとこれがまた実にハッピーな出来。

ディアフーフは1994年に結成、現在は日本人メンバーがボーカルを努めています。そのせいもあってか、彼らの音楽は実験的でありながらどこかポップで親しみやすい。まさにこのレーベルならではの自由な精神が体現されています。このところ新作をずっと聞き続けていますが全然飽きないですねー。他にもこのレーベルには、「Mika Miko」「Xiu Xiu」と言った面白いバンドがいます。もちろんエリオット・スミスの名盤をリリースしたというだけでも存在価値があるかも。

ちなみに、ディアフーフは、来年の1月・大阪から日本ツアーを開始するとのこと。シガー・ロスと同様、これもはずせませんねえ。以下のMyspaceから新作の一部が試聴できます。ぜひ。

・DEERHOOF(Myspace):http://www.myspace.com/deerhoof

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『人間ドック』(No.347/2008.10.10)

先月、ほぼ4年ぶりに人間ドックを受けてきました。慢性胃炎があるので、少なくとも胃内視鏡検査は1年に一度くらいは受けないといけないのですが...どうも怖くて...。とりあえず、インターネットで評判のよさそうな病院を探して行ってみると、院長さん以下みなさんお若い方ばかりで若干の不安を抱いたものの、結果的には久しぶりに良い病院にめぐり合えたと思います。

何を持って”良い”とするかはいろいろな考え方があると思いますが、前に一度このコラムでも書きましたが、個人的にはお医者さんの”診察時間の長さ”を大きな判断基準としています。昔、C型肝炎を患ったことがあり、今までに何回も超音波検査を受けてきましたが、あながちこの判断基準は間違っていないように思います。自分の身体の状態を理解するには、もちろん、自分自身の感覚が最も大事で、その次がお医者さんの説明なのではないかと。そういう意味でホント素晴らしかった。他にも、診察が終わった後、会計までの待ち時間が短かったり、看護士さん、事務員さんの対応も分かりやすくて丁寧。いや、その病院の宣伝をしたいわけではなくて...伝えたかったのは、胃内視鏡・大腸内視鏡ともに、最近ではほとんど痛みを感じないで受診可能なんだなーということ。病院による差はあると思いますが、痛いのが嫌で内視鏡を避け続けているご同輩の方(自分がまさにそうでしたので)、いらっしゃいましたらぜひ受診をオススメします。

重い病気ほど初期症状はほとんどないと言われています。私がC型肝炎と判明した時もそうでした。血液検査で肝臓関係の値が少し高く、要再検査となったので判りましたが、その後入院してインターフェロン治療を受けるまでは、健康そのものでしたから。ご用心、ご用心。
個人的には、これからは年1回内視鏡検査を受けようと思います...それにしても、医療費が高いですねえ。次の与党に期待?

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『コミック映画』(No.346/2008.10.03)

『デトロイト・メタル・シティ』『イキガミ』『20世紀少年』『おろち』などなど、邦画ではコミック原作の映画が元気がいいようです。
『デトロイト・メタル・シティ』なんかは、映画化に適した作品かもしれませんね。公開に合わせて、原作に登場する歌詞や世界観を再現したCDもリリースされているようですが、その過激な内容からクレームが殺到し、販売を差し控える店舗も出ているとのこと。是非はともかく、宣伝効果はありますよね。

一方、『20世紀少年』『おろち』などは、漫画として画や世界観があまりにも完成されすぎていて(もちろん、他がそうではないという意味ではありません)、原作のファンには受け入れられにくいのではないかと思います。
特に楳図かずお作品なんかはあの画ありきですから。さらに楳図ファンには『漂流教室』の映画化のトラウマがあるのではないでしょうか。私もそうです。同作は1987年に大林宣彦監督にて映画化されましたが、これはさすがに...の出来でした。舞台がいきなりインターナショナルスクールになっちゃってますし。一説によると楳図先生もさすがにお怒りになって、試写以降、一度も見てないとか。
それにしても、『漂流教室』。週刊少年サンデーで連載開始されたのが1972年というのが驚き。人間のエゴを描ききっただけでなく、来るべき世界を予言していたということも含め、まさに歴史に残る傑作ですね。

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『おれ内閣』(No.345/2008.09.26)

24日、臨時国会で自民党の麻生太郎総裁が第92代首相として選出されました。さらにその後、通常であれば官房長官が行う閣僚名簿の読み上げを、首相自らが発表。笑顔も見せず、いつになく緊張している様子でしたね。
入閣したメンバーに驚くような顔ぶれはなく、強いて言えば34歳の小渕優子衆院議員が戦後史上最年少で起用されたことでしょうか。しかしながら、そもそも”少子化担当相”がよくわからないので、さほどのインパクトはなかった気がします。
官邸入りする閣僚の方々の様子がテレビでも流れましたが、結構微妙な表情の方が多いのが面白い。石破さんはあきらかに戸惑っていましたよね。

早速マスコミからは、「麻生氏だけが目立ちたい」「世襲割合が多い」などなどいろんなことが報道されていますが、まあリーダーが自分の人脈で周りを固めるというのは、意思統一という意味でも悪くないと思いますので、これを対小沢氏のための首相の決意の表れと考えれば”あり”なのではないでしょうか。もちろん、そうやって身内で固めれば固めるほど、リーダーの資質がもろに問われることになるわけですが。ということで、いよいよ麻生VS小沢戦の幕開け、です。

ちなみにアメリカでは、大統領選にちなんでマイケル・ムーアがひと暴れしているようです。自身が監督した最新ドキュメンタリー映画『Slacker Uprising』を「SlackerUprising.com」で無料公開。多くの若い有権者をソファから立ち上がらせ、投票に向かわせることが目的とのこと。なかなか面白い企画ですね。『Slacker Uprising』は、ムーア監督が2004年の大統領選中に、どちらの候補を支持するかで揺れる62都市を回り、人々の反応や声などを集めた97分の作品。制作には200万ドル以上掛かっているそうですから、ムーア監督、本気です。ちなみにダウンロード視聴できるのは北米在住者のみとのこと。

こちらの選挙も見逃せませんね。それにしてもマイケル・ムーアまた太りました...。

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『ミレイ展』(No.344/2008.09.19)

渋谷Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中の「ジョン・エヴァレット・ミレイ展」を観ました。ザ・ミュージアムのHPを見ると、ジョン・エヴァレット・ミレイ(1829−1896年)は、11歳という若さでロイヤル・アカデミーへの入学を許可されるものの、古い慣習に不満を抱き、1848年に「ラファエル前派兄弟団」を結成、革新的芸術運動の中心的役割を担った、とあります。うむー、天才、ですね。
今回は代表作の『オフィーリア』や『両親の家のキリスト』など、英国内外の主要コレクションから構成された日本で初めての本格的な回顧展とのこと。

画家の素性をほとんど知らないまま見たのですが、会場に入って数分後には、「もう一度来よう」と決めました。いや、もちろんその場でじっくり見ましたが、この素晴らしい作品群に触れるのが一回だけではもったいない、と思ったんです。
まず、最も人だかりの多かった『オフィーリア』を見て鳥肌。微笑みか否かの瞬間を描いたダ・ヴィンチのモナリザのごとく、そこには生と死の狭間とも思える美しく、かつ切ない光を放つ世界が存在していました。さらに他の作品でも、一枚の絵にさまざまな物語が凝縮されており、また意外にダークな雰囲気の作品も多く、圧倒されました。やはり人間は欲望だけでなく、物語に突き動かされる生き物なのだと実感。
会期も長いので(2008年8月30日(土)〜10月26日(日)まで。開催中無休!)ぜひ足を運んでみてください。
その他詳細はBunkamuraザ・ミュージアムのサイトからどうぞー。

・『ジョン・エヴァレット・ミレイ展』
http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/shosai_08_jemillais.html

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『息子と娘』(No.343/2008.09.12)

このところ、大スターの血を受け継いだ映画監督の作品についての情報をふたつ見かけました。
ひとつは、ロックスターであるデヴィッド・ボウイの息子、ダンカン・ジョーンズ監督の新作『ムーン』。「シネマトゥデイ映画ニュース」によると、この作品は来年全米公開予定で、内容は貴重な鉱石を採掘するために月基地に一人で滞在している男が自らのクローンと対決する恐怖を描いたスリラーだそうです。で、ケヴィン・スペイシーがロボット(クローンでしょうか?)の声を担当するとのこと。声だけだとするとちょっと寂しいですが...。ちなみにダンカン監督は、デヴィッド・ボウイの前妻アンジェラとの間の子で、現在37歳。2002年には短編映画『ホイッスル』を作っています。

続いては、”インディペンデント映画界の父、ジョン・カサヴェテス”を本当に父に持つ、ゾエ・カサヴェテス監督の『ブロークン・イングリッシュ』。彼女は、父のみならず、母親が名優ジーナ・ローランズ(本作にも出演)、兄が映画監督ニック・カサヴェテス(『ジョンQ』(2002)など)というサラブレッド。すごいですねえ。
本作は、4年の歳月をかけ、ゾエ自身の実体験を盛り込んだラブ・ストーリーだそうです。上映スケジュールなどは公式サイトをご覧ください。
・『ブロークン・イングリッシュ』(http://broken-english.jp/

いずれも二人の育ちや背景も含めて観たい作品ですが、どちらかというとやはりゾエ・カサヴェテスに期待したいですね。フランシス・フォード・コッポラ監督の愛娘ソフィア・コッポラとも親友らしいし、監督作品のデビュー作はフランスのファッション・ブランド’A.P.C.’向けに作った映像パッケージ『メン・メイク・ウィメン・クレイジー・セオリー』ですから、何か新しい感性に触れることが出来るかも、と。

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『ロードショー休刊』(No.342/2008.09.05)

今月の1日、集英社は映画専門誌「ROADSHOW(ロードショー)」を11月21日発売の09年1月号で休刊すると発表しました。個人的に映画に興味を持つきっかけとなった雑誌でした。残念です..。

「ROADSHOW(ロードショー)」は、主に海外の映画やスターの情報などを掲載した雑誌で、あらためて同誌の歴史を振り返ってみると、創刊は1972年3月。創刊時の部数は21万8000部、最高では35万5000部を記録(83年2月号)したそうです。それが最近では平均5万部..。”映画情報をインターネットなどで集めるファンが増え、部数や広告収入が減ったこと”が休刊理由とのこと。

雑誌など紙媒体の不況のニュースでは、大体インターネットメディアの台頭が影響したというようなことが報じられますが、インターネット上のマガジンやコミュニティにしても、基本的には広告収入頼みということでは同じなので、ネット上の媒体も数十年単位で考えれば、いずれ成り立たなくなるのではないでしょうか。映画雑誌にしても、映画というメディアそのもののパワーダウンもあるとはいえ(まあそれがそもそもネットの影響もあるのかもしれませんが)、雑誌というモノとしてのメディアそのものにはまだ魅力を感じる人は多いはずなんですけどね。いずれにしてもこういう話はいち業界だけの問題ではないですよね。でもホント残念...。がんばれ「SCREEN(スクリーン)」(近代映画社)。

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『生活する空間』(No.341/2008.08.29)

何においても”遊び”というのは大事なもので、人生を楽しむという意味はもちろん、辞書で引くと”急激な力の及ぶのを防ぐため、部品の結合にゆとりをもたすこと”という意味もあります。車のハンドルなんかがそうですね。
それは空間でも同じで、公的な空間と私的な空間、その間にセミ・パブリックとでも言うべき空間があることによって、人と人との関係における、コミュニケーションの場になったり、トラブルを未然に防ぐ場になったりするのかなと。

そういう意味で最近、生活空間のリアリティについて考えるのですが、普通に考えるならば、生活空間としては、まず、”家”があり次に”職場”があります。そしてお買い物をする場所や遊ぶ場所が並ぶでしょう。しかしながら、例えば私にとってみれば、生活空間はまず商売をしている自分の家が属する商店街でした。なぜなら家=職場であり、職場は他人の職場と強く結ばれたコミュニティ(=商店街)を形成していたからです。ある意味すべてが並列でした。
学生時代は京都にいましたが、京都は町自体が小さいこともあり、やはり商店が身近にありました。人々が日々仕事をこなす場所と食べて寝る場所が離れておらず、それがまさに生活空間であったわけです。これが、モータリゼーションの進化や、インターネットなどコミュニケーション・インフラの発達によって分断され、現代ではほとんどバラバラになってしまったといっても過言ではないでしょう。

近年、ミクシィなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が流行しており、ビジネスの手法としても取り入れられているようですが、インターネット上のコミュニティはまさに、この分断された空間を埋めるべく存在しているのかもしれません。そう考えると、SNSからオフ会というリアルの集まりが良く催されるのも納得できます。登録人数が多いSNS内では人間関係のトラブルなんかも多いそうですから、これもある意味リアルですね。とはいえ、だからと言って、これが場所にとらわれないご近所付き合いの未来形だ、なんてことになるとちょっと寂しい気もしますが...。

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『赤めだか』(No.340/2008.08.22)

落語界の異端児、立川談志を師匠に持つ立川談春のエッセイをまとめた書籍『赤めだか』(扶桑社)を読みました。これは同社の季刊文芸誌「en-taxi」上にて連載されていたものをまとめた『談春のセイシュン』を改題して今年4月に発売されたもの。相変わらず冷めない落語ブームの後押しや、今年度の講談社エッセイ賞を受賞した実績もあってか、平積みになっている書店も多いですね。

内容的には、談春の落語家を目指す経緯から始まり、前座時代のエピソードや、家元・談志との物語など、面白くてちょっと切なく、最後には泣ける話が詰まっています。
立川流(落語界では唯一家元制度を採っています)の落語家さんの高座はあまり聞いたことがないのですが、談春やその弟弟子だった志らくなどは、一時期「立川ボーイズ」として結構テレビに出ていて、よく見かけました。その頃の印象があまりよくなくて、さほど気にしていなかった落語家さんだったのですが、このエッセイは素晴らしかったです。
前座時代のどん底エピソードの連続や、談志師匠の恐るべき人間性など、さまざまな要素が凝縮された内容ですが、最もストレートに伝わってくるのは、自分が心底尊敬できる、ほれ込むことが出来る人がいるということの幸せ。そういう人がいるかどうかで人生違ってきますからね。

落語に専念していなかった時期がある、と本人も認めているようですが、近年はかなり本業に力を入れているようです。また年齢も私のひとつ上。地獄をくぐり、天国を垣間見た一人の落語家の芸と生き様をぜひ高座で見てみたい、そう思いました。

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『TOKYO!』(No.339/2008.08.15)

今、渋谷駅の構内がほとんどこの広告でジャックされているといっても過言ではないのが、日仏韓の合作映画『TOKYO!』です。
同作は、ビョークなどさまざまなミュージシャンのプロモーションビデオで知られるミシェル・ゴンドリー監督と『ポンヌフの恋人』(1991)のレオス・カラックス監督、『グエムル 漢江の怪物』(2006)のポン・ジュノ監督の3人がそれぞれの視点で捉えた東京を描いたオムニバス作品。

一応、東京暮らしが長い人間としては、3人の中に日本人がいないのが逆にワクワクします。
駆け出しの映画監督の恋人との距離を感じ、椅子に変身していく女性を描いたミシェル・ゴンドリー監督の『インテリア・デザイン』、突如マンホールから現れた謎の人物が銀座の中央通りを闊歩し、街を破壊し始めるレオス・カラックス流『ゴジラ』的シチュエーションで幕を開ける『メルド』、10年間、家に引きこもっていた男が主人公のポン・ジュノ監督『シェイキング東京』、どれも面白そうですねえ。
何より、レオス・カラックス監督がまたシーンに復帰したのが嬉しいです。しかも主演はカラックスの作品ではお馴染みドゥニ・ラヴァン。主人公の名前がすべて”アレックス”という『ボーイ・ミーツ・ガール』(1983)に始まる3部作と同じく、今回の怪人メルドもある意味自分自身だとカラックス監督は、いろんなインタビューで語っています。そういう意味でも興味深い。

後、やっぱり世代的にも気になるのが音楽。伝説のテクノ・バンドYMOの三人によるHASYMO(Human Audio Sponge+Yellow Magic Orchestra)が担当。しかしこの人たちの活動はある種のゆるさを保ちながら、ますます研ぎ澄まされていく感じがします。サントラ盤には、HASYMOによる書き下ろし(3人の共作)のエンディングテーマ「Tokyo Town Pages」、そして『メルド』で使用された伊福部昭によるゴジラのテーマも収録されているようです。公開は明日16日から。とりあえずサントラ買っときます。

・『TOKYO!』(http://tokyo-movie.jp/

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『知の編集』(No.338/2008.08.08)

最近、知人がISIS編集学校の生徒であることが判明。校長を務めていらっしゃる松岡正剛氏の著書をいろいろ読んでいます。
ISIS編集学校は、世界で初めてインターネット上に開校した学校で、主としてメールのやり取りによって情報編集の体系的な知や技術を学べる学校です。開校は2000年で、受講者数は3,000人を超えるとのこと。私は受講していませんが、知人によると、インターネット上だけではなく、その期の生徒たちがリアルの場所で集まって親睦会のようなものを行う場も用意されているそうです。
具体的な授業内容は、新書『知の編集術』(講談社現代新書)など、さまざまな著書の中でも紹介されていますので、変に編集してご紹介するよりもそちらをご覧いただきたいのですが、松岡さんの言葉であらためて印象に残ったのは、「二十一世紀は”方法の時代になる”」ということ。例えば、安全保障や環境保全など、重要と思われる”主題”は大体分かってきたものの、決して世界がうまく動いてきたわけではない、なので、これからは主題を結びつける”あいだ”に物事の解決の糸口があり、その”あいだ”を見つけ出す”方法”が必要であると。

私も地域の問題やそれを解決しようとするプロジェクトに関わってきて、どこかで成功した方法をそのまま持ってきて実践することに疑問を感じていました。例えば地方の活性化のために”エンターテイメント”や”アート”などいくつかの”テーマ(=主題)”が用意されますが、結局それらをどのようにその地域にあわせてローカライズ するか、ということが最も重要ではないかと。そしてそのローカライズが最も難しい。なぜならその地方の文化はその土地に住んでいた人たちが作ってきたものだからです。さらに、地方にしろ何にしろ、崩壊するものや行き詰るものは必ず構造的な欠陥を抱えています。
それらを主題を機軸として解決するのは不可能に近いのではないでしょうか。

う〜ん、そろそろ新しい編集の技術が求められているのかも。

・ISIS編集学校(http://es.isis.ne.jp/

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『チケット哀歌』(No.337/2008.08.01)

先般、このコラムでもご紹介した、アイスランドのバンド『シガー・ロス』。今年の10月に来日公演があるというので、チケットを取るべく発売日に電話でチャレンジしましたがあえなく惨敗しました。電話をかけ始めて1時間後につながったものの”売り切れました”のアナウンス。
ここ数年、外タレのコンサートに行っていなかったので、昨今のチケット取得事情はどうなんだろうと思っていましたが、インターネットが普及しようが、ADSLが普及しようがあまり変わらないんですね。久しぶりにこの屈辱感を味わいました。やっぱりチケット売り場に並べばよかった...。
まあ、人気のあるバンドですし、東名阪で1日ずつの公演ですから、取れないだろうとは思っていましたが。追加公演が行われることを祈るのみ。オークションでは2倍以上の値段で取引さているようです。通常価格で1枚7,500円のチケットですからねえ。

人気アーティストのライブや公演のチケットがなかなか取れないのは音楽に限ったことではありません。来月には、落語に青春をかける女の子を主人公にした映画『落語娘』が公開されますが、落語も相変わらず人気のようです。
今の時代で言うと、立川談志や志の輔、笑福亭鶴瓶さんなどの興行は発売開始2分で売り切れるものも多いとか。みんなどうやって取ってるんですか?
昔は公衆電話からかけるとつながりやすい、とか、ダイヤル(この言葉が出る時点で時代を感じますね)をしてつながるまでの時間を計っておいて、発売開始時間の数秒前にかけ始める、など、いろんな裏技の噂がありましたが、あまり意味はなかった気がします。やはり運なんですかねえ。
さて、シガー・ロス、どうするかなあ。

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『ロシア・アヴァンギャルド』(No.336/2008.07.25)

渋谷の東急Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中の『青春のロシア・アヴァンギャルド展』を観ました。モスクワ市近代美術館のコレクションをメインに、20世紀前半に花開いた“ロシア・アヴァンギャルド”の作品を集めた展覧会です。アヴァンギャルド展という名前ですが、出展されている作品の作家にはロシア時代のマルク・シャガール、ワシーリー・カンディンスキーなど、かなり有名な人の名も。モスクワ市近代美術館の所蔵作品をまとめて紹介するのは、日本で初めてだそうです。

ロシア・アヴァンギャルドというと、2000年の前半に原宿かどこかで開催された小さなポスター展に衝撃を受けた記憶があります。決して多くない色数なのにどこか近未来を感じさせる雰囲気。グラフィックとイラストレーションの狭間のようなかっこよさ。いいですねえ。
今回のザ・ミュージアムでの展示も相当良かったです。アヴァンギャルドといっても単に無秩序なわけではなくて、基本的には従来の価値観や世界観に対して抗っている姿勢があり、突き抜けることによってすべてを己の存在価値へと昇華しようとするタフさが”パンク”(の方が後ですが)でした。
私は、リアルタイムで人の心を打つものは基本的に”明るい”もので、後から振り返って人の心を打つものは根底に”暗さ”を抱えていると思います。
なぜなら、本当は”負”のベクトルを持つものの方がパワーがあるのですが、リアルタイムでは、人間にとってその”暗さ”は重荷にしかならないと考えるからです。
ロシア・アヴァンギャルド展に名を連ねる作家たちも、当時は評価もされず生活も苦しく、恵まれていませんでした。その貧困や孤独の中から生まれたからこそ、時代を超えて人々に訴えかけるチカラがあるのではないかと思います”今の時代だからこそ”とか”あえてこの時代に”などの導入入りません。時代や時を超えて語り継がれなければならないアートがここにあります。

・『青春のロシア・アヴァンギャルド展』
(2008年6月21日(土)−8月17日(日) 開催期間中無休 )
http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/shosai_08_moscow.html

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『2001年宇宙の旅』(No.335/2008.07.18)

ぎりぎりの情報で申し訳ありませんが、東京・東銀座の東劇では、6月28日(土)から本日7月18日(金)までの期間、スタンリー・キューブリック監督の『2001年宇宙の旅』を再上映しています。
説明するまでもないと思いますが、『2001年宇宙の旅』はアーサー・C・クラークの原作を映画化したSF映画の金字塔。最初にアメリカで公開されたのが1968年4月6日。今回は、作品公開40周年と監督生誕80年を記念したアンコール上映とのこと(キューブリック監督はすでにお亡くなりになっています)。DVDは持っていますので、もう何度も観ているのですが、やはりスクリーンで観ることができるとなると話は別。何とかすべり込みで観てきました...。

冒頭、何もスクリーンに映っていない状態で、不協和音的な音楽が流れるところもDVDそのまま。ってDVDの方が後だから当たり前か。その後、惑星が一直線に並んでいるシーンにリヒャルト・シュトラウスの『ツァラトゥストラはかく語りき』が重なってくるといきなりテンションは最高潮に。まさにスペースオデッセイ。公開当時からずっと賛否両論で語られてきた本作ですが、やはりこの重厚さと深遠さは圧倒的。これぞ映画というメディアでないと成し得なかった質感ではないでしょうか。
同じSF映画でも、アンドレイ・タルコフスキーの『惑星ソラリス』をリバイバル上映で観たときに感じた、内へ内へと向かっていくベクトルとは全く逆で、永遠に拡散していくような世界観と映像からは、小さな画面では得られないポジティブなカタルシスを感じました。のSF映画には必ず出てくるインターネット的インフラが登場しないのも逆の意味ですごい。
キューブリックの成し遂げた偉業に改めて感謝。

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『残響』(No.334/2008.07.11)

アイスランドが世界に誇るバンド『Sigur Ros(シガー・ロス)』の3年ぶり5枚目となる新作『残響』(Med sud i eyrum vid spilum endalaust)を買いました。始めて故郷を離れて海外で録音したことや、英語で歌っている曲があるなど、いろいろ話題を集めている本作。裸の男女(?)と思われる4人が道路を横切っている後姿が印象的な写真を使ったジャケットも結構衝撃。写真そのものはもちろん、今までのシガー・ロスのイメージからするとこれもかなり冒険かも。
で、実際に聴いてみると、確かに音的には冒険をしている部分も見受けられますが、やはりシガー・ロスはシガー・ロス。透明で低温な音空間は健在。それでいて、春夏秋冬いつ聴いてもハマります。いいですねえ。

なんと、今年の10月には東名阪の3ヶ所で公演を行うとのこと。死ぬまでに一度はライブを見たいと思っていたので、今回ははずせません。2005年のフジロックフェスティバルとか2006年のジャパンツアーとか行けませんでしたから。東京は10月26日(日)国際フォーラムだそうです。7,500円。やっぱり高いね...でも行きたい。

ちなみにシガー・ロスの公式サイトは、すごくクールなサイトデザインなのに、バンドの”トリビア”や”Q&A”のコーナーがあって面白いです。”トリビア”では、「シガー・ロスって”勝利の薔薇”って意味だよ」、とか、”Q&A”では、「バンドのメンバーは英語話せるの?」という問いかけがあって、「はい」って答えが載っていたり、全員の年齢が載っていたり。何かバンドのメンバーってみんな良い人そう...。

・シガー・ロス公式サイト(http://www.sigur-ros.co.uk/)

・日本版公式サイト(http://www.emimusic.jp/intl/sigurros/)
 ※現在、『残響』の全曲が試聴できます。

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『魂の行方』(No.333/2008.07.04)

先般、このコラムでもご紹介した、グラント・ジー監督による伝説のバンド、ジョイ・ディヴィジョンのドキュメンタリー映画「JOY DIVISION」を観ました。
さまざまな苦悩を抱えながら自殺してしまったヴォーカリスト、イアン・カーティスの半生を描いた『コントロール』も、凄まじくクールな内容でしたが、やはりドキュメンタリーはまた違った凄みがあります。
初公開となるライブ映像や音源が使われていたり、残されたメンバーのインタビュー映像が豊富で、さらにイアンの愛人だったジャーナリストのアニーク、先述の『コントロール』を監督したアントン・コービンが登場するなど、貴重なシーンの連続。すごい。
残されたメンバーのバーナード・サムナーやピーター・フックが、必ずしもジョイ・ディヴィジョンのアルバムを支配するダークな雰囲気を好んでいたわけではない様子や、やはりみんなイアンと固い絆で結ばれていたんだなと思わせる発言が多いところなんかも非常に興味深かったです。
冒頭で、ファクトリー・レコードのオーナー、故トニー・ウィルソンが語るように、彼らの歴史は単なるバンドの歴史ではなく、街の歴史でもあったのでしょう。そういう磁場というか、エネルギーのようなものマンチェスターにはあったのかもしれません。

彼らが残してくれた、乾いた石でコンクリートを殴りつけるような質感、そして内へ内へと向かっていく、パンクが成し得なかった深み。ジョイ・ディヴィジョンとの出会いがあるかないかで人生の方向性が変わるかも。イアン・カーティスが背負っていたもの、その大きさと重さがずしりと心に響いてくる作品でした。

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